内容説明
1000年のベールを剥いで今ここに鮮明によみがえる「源氏物語」。国語学者と小説家が男同士で語りあう大胆率直な読みと解釈。
目次
「桐壺」
「帚木」「空蝉」「夕顔」
「若紫」
「末摘花」「紅葉賀」「花宴」
「葵」
「賢木」
「花散里」「須磨」「明石」
「澪標」「絵合」「松風」「薄雲」「朝顔」「少女」
「蓬生」「関屋」「玉鬘」「初音」「胡蝶」「蛍」「常夏」「篝火」「野分」「行幸」「藤袴」「真木柱」
「海枝」「藤裏葉」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
49
『源氏物語』を語り合うのですが、マニアックで学術的な印象を受けました。物語の見方の深さを感じます。下巻も読みます。2021/12/07
莉盆
10
まるでミステリーの謎解きのよう。 考えてみれば、『源氏物語』自体が、今とは言葉も文化も違う千年以上も前に書かれたわけだし、和歌を読み合い、そこに委ねられた相手の意図をおしはかったり、推察したりという謎解きそのもの。 その上、作者の紫式部は何もかも詳らかに綴っているわけではなく、曖昧。 原文の一部とその丸谷才一の現代語訳に続き、著者二人がそれぞれ内容について互いの意見を述べている。本書を読んで、なるほどそういうことだったのねというのは多く、わけても大野晋のいうa系、b系の考え方には見晴らしがよくなる思い。 2023/11/24
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
3
積むこと十年、ようやく時を得た。『輝く日の宮』のベースは、この対談にあったのだな。近代小説との比較論も面白かった。2016/08/16
Bibliotheca
1
再読の再読。どれだけ原文を読んでも解説を読んでも、実は知らないことが山ほどあることが分かったという結論に帰結するしかない。国語学の碩学と小説家。日本語に対して生涯をかけて寄り添い切った二人だからこそなしえた対談集。騙されたと思って読んでみてください。2017/01/04
Waka
0
大野晋先生と丸谷才一氏の対談形式の図書。数年前図書館で借りて読み切れなかったので、引っ越し後に古本で手に入れ、上巻を読了した。日本語の成り立ちにお詳しい大野先生と、小説執筆が本分である丸谷氏の、それぞれの読み方、分析の仕方が、ぶつかることなく気持ちよく一冊の本になっている。「そう読めばよかったのか」という点がたくさん。 『無名草子』の著者は現在では俊成卿女ではないとされているかと思うが、1989年の図書なので仕方ないか。稀に、現在では否定されている説に基づいたやり取りがあるが、仕方ないものだと思う。2022/09/19