出版社内容情報
誰が何のために作った? なぜ不幸な歌人が多い? 12の謎に説得力に満ちた「解答」を示す。
定家のたくらみ、見破ったり! 誰が何のために? なぜ代表作が撰ばれていない? なぜ不幸な歌人が多い? 「発注主」と飾られていた「場」に注目することで、あらゆる謎を鮮やかに解く。
内容説明
「百人一首」には数多くの謎がある。誰が何のために作ったのか?不幸な歌人が多いのはなぜか?歌人の代表作が撰ばれていないのはなぜか?神様、仏様の歌が一首もないのはなぜか?その答えは、そもそもこの撰歌を発注した者の意図と、その歌が飾られた場所に着目することで見えてくる。長年、解かれぬままになっていた様々な謎に対して、明快で説得力に満ちた「解答」を示す、百人一首の見方が一変する一冊。
目次
第1章 実は謎の多い『百人一首』
第2章 もう一つの『百人一首』
第3章 撰歌方針の謎
第4章 クライアント・蓮生の素顔
第5章 山荘の造りが謎を解く鍵だった
第6章 定家の密かな「シカケ」
第7章 『百人秀歌』から『百人一首』へ
第8章 歌人たちの苦しみ
第9章 ベストセラー『百人一首』の誕生
著者等紹介
草野隆[クサノタカシ]
1957(昭和32)年、神奈川県生まれ。上智大学文学部国文学科卒、同大学院文学研究科博士課程後期中退。修士(国文学)。立正大学等で非常勤講師。星美学園短期大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷれば
27
『百人一首』…カルタや書籍、コミックス・CDなど、幅広い層に親しまれている。だが、実は百人一首には数多くの謎があるとされる。本書は長年解かれぬままになっていた様々な謎に対して、意欲的に取り組み、明快かつ説得力に満ちた解答を提示している。百人一首に興味がわき、もう少し追いかけたくなるかも。 2016/05/11
ともとも
21
深く、広く、そして解り易く百人一首の世界感が描かれていて 古典、和歌からいろいろなことが読み解けて、なるほどなぁ~と思いながらも 載っている和歌には、意外な共通点があり、それぞれに人生や心情、 歴史があったのだということを考えさせられてしまいました。 そして僅かな文字数で、表現を豊かにし、それを人の心に伝え、響かせる 百人一首、和歌の素晴らしさと奥深さを痛感させられてしまいました。2016/10/23
ねね
13
うーん、ここんとこ新書系が不作な気がする…。元々百人一首の成り立ちにそんなに思い入れや、こうだ!という推論を持っていたわけではないので、こういう説もあるのか、程度の読後感なのですが。何というか、微妙に考察がご都合主義的に感じるのですよね。定家が蓮生のオーダーを受けて撰歌し、そこには仏教主義的な諸行無常などをちりばめ、あるいは欲と業に満ちた選び方をし…とあるのですが、納得しかけた矢先に、中納言が多いのは定家が暴走した結果、とかなんとか。えええ?と、胡散臭さが先に立ってしまい(苦笑)2016/06/17
yamahiko
11
スリリングな謎解き。数十年ぶりに百人一首をじっくり読み返すきっかけに。2016/04/09
チェアー
9
謎を解く以前に、百人一首に謎があることすら知らなかった。考えてみればそうやなあ。本当に有名な歌が入っていなかったり、やたら恋の歌が多いし。配流された2人の元天皇の歌が含まれているのも、おかしい。なるほど。しかし、この本で示されている謎解きには、仮定の部分があまりにも多く、万全の説得力があるかというと、それは疑問。この本の最大の貢献は、謎の存在を気づかせたことだな。2016/04/22