出版社内容情報
加藤 徹[カトウ トオル]
著・文・その他
内容説明
財、貨、賭、買…。義、美、善、養…。貝のつく漢字と羊のつく漢字から、中国人の深層が垣間見える。多神教的で有形の財貨を好んだ殷人の貝の文化。一神教的で無形の主義を重んじた周人の羊の文化。「ホンネ」と「タテマエ」を巧みに使い分ける中国人の祖型は、三千年前の殷周革命にあった。漢字、語法、流民、人口、英雄、領土、国名など、あらゆる角度から、斬新かつ大胆な切り口で、中国と中国人の本質に迫る。
目次
第1章 貝の文化 羊の文化
第2章 流浪のノウハウ
第3章 中国人の頭の中
第4章 人口から見た中国史
第5章 ヒーローと社会階級
第6章 地政学から見た中国
第7章 黄帝と神武天皇
終章 中国社会の多面性
著者等紹介
加藤徹[カトウトオル]
1963(昭和38)年東京都生まれ。広島大学大学院総合科学研究科助教授。東京大学文学部中国語中国文学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。90~91年、北京大学留学。著書に『京劇』(サントリー学芸賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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獺祭魚の食客@鯨鯢
61
日中関係は「遠交近攻」の孫子の言葉が当てはまる。日中友好関係は中国が強力な外敵と対峙している時に成立する。中ソ紛争時に田中首相による日中国交正常化が実現した。 インドとの対立があることなど孤立している時に日本との関係を改善したいと考えている。その近づき方は米国の動きを読まないと田中首相のように逆鱗に触れる恐れがある。 君子の交わりとは言わないが、あまり相互依存し過ぎると梯子を外されたときに困るので今後は是々非々で行く方が無難かもしれない。2020/07/09
獺祭魚の食客@鯨鯢
51
農耕民族の南中国と遊牧民族の北中国は今も分断している。習近平主席は陝西省生まれで古代の魏のあったところ。李克強首相は安徽省出身で呉のあったところです。 二人の仲は悪くつばぜり合いをしている。李首相は親日家でもあり、世界から四面楚歌状態になっている習近平政権へ武漢の施策に関して異議申し立てしているようです。 貝は南部の華僑を輩出する商人の象徴。羊は北方遊牧民族の象徴です。三国志の世界を知っている者は南を応援したくなります。 一年前から想像もできない流動化が中国内部でも進んでいます。王朝交代の兆しかも。2020/07/19
もちもちかめ
33
これは最高でした。中国に対するなぜ?の違和感が大部分解ける。何事にも理由があります。和魂洋才と中体西用。魂と体。精神性はあまり重視しないんだよ、とか。縄張り範囲をあまり気にしなくて、狭いところが嫌い。無私物と解釈する範囲が日本人より広いよ、とか。大恩は絶対に忘れないけど、お茶をおごるとかの小恩はその場かぎり。後でお礼を言うと、同じことをしろと催促になるよ。ありがたや。で、最後のまとめで、国がコロコロ替わったのは人口が増えすぎて食わせていけなくなったから。滅びるときは大抵半分くらい死んでる。2018/08/24
shincha
32
再読。以前読んだときに感じたことと、同じように感じた事と、そうでないことがあった。中国人は死に特別な感情を抱かないみたい、死刑も単なる刑の1つみたいな記述もあったが、小生の中国人の友人の父上が亡くなった際の対応や反応を見る限り、身内の死は世界共通。個人個人では信じるに値し、大好きな中国人の方もいる。本誌を読んで、中国人のDNAに刻まれた本質的な意識、考え方は勉強になった。2006年の書かれた本という感じがしない。現在の中国共産党の動きを見事に予言している。今こそ、読むべき本だと感じた。2024/01/14
ヨーイチ
32
この手の本で500を越える登録は中々の物で、評価が定っているって感じ。現今の中共・覇権、経済大国では無く、少し古い感じだけど、この本の場合はあまり気にならない。多分歴史をしっかり踏まえて本質のような物を基礎に置いた記述だからだと思う。歴史に現れた数々の現象をわかり易く並べてチャイナの特徴を教えてくれる。小生の印象として「健全な入門書」って感じがした。わかり易く、無理をせず、本格的な、役に立つ知見を与えてくれた書物であった。「役に立つ」とは例えば呼称問題・支那についての解説。続く2023/05/11