内容説明
「ブランドのなかのブランド」と呼ばれるエルメス。圧倒的に高価でありながら異常なまでの人気を得た背景には、高水準の職人技術はもちろん、徹底した同族経営、巧みな広報・商品戦略があった。馬具工房としての創業から百六十余年、「伝統」と「革新」を織り交ぜながら発展を遂げた「最強ブランド」の勝因を、日本との関わりに注目しつつ多角的に分析。日本のブランド・ブームについても考察した、ブランド文化論。
目次
序章 ブランドのなかのブランド
第1章 エルメスの歴史
第2章 伝統と革新
第3章 デザインの統一性
第4章 エキゾチシズムと日本
第5章 相手を選ぶメッセージ
第6章 エルメスのエスプリ
第7章 日本におけるエルメス
第8章 日本人とブランド
著者等紹介
戸矢理衣奈[トヤリイナ]
1973(昭和48)年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。独立行政法人経済産業研究所リサーチアソシエート、フェリス女学院大学非常勤講師
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感想・レビュー
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ワダマコト
28
ファストファッション全盛期と呼ばれる現代。これからハイブランドの一角を担う老舗店はどうなっていくのか。というようなことに興味があったのだが、読み終わりで気づいた発行日2004年の文字・・・。ただ、エルメスについての基礎情報は全くなしの状態で読んだので、新たな知見も得られた。結果オーライ。2014/04/27
ナチュラ
23
この本を読んで「エルメス」というメーカーが180年の歴史の中でどのようにして今日の超高級ブランドとしての地位を確立したかがよくわかった。 馬具の製造から始まり、同族経営で4代目の現在に至るまで、最高の品質と職人の技術、流行に流されず常に進化を続ける技術、まったくブレていない。 そして世界の伝統文化を取り入れたり、日本の職人の技術も学んでいるとは驚く。 まさにブランドの中のブランド。 世界の皇族、貴族、セレブたちに愛されるのも理解できる。 製品の高いお値段にも納得。2017/03/18
カッパ
20
エルメスの財布を買った。でもそれくらいでまったく詳しくはないです。パーキンのバックが目の玉飛び出るくらい高いっていうのは知ってる。けどそれくらい。伝統と革新があるブランドというのはわかった。きっとこれからも地位を確立して行くのだと思う。2017/10/04
nekozuki
10
自分たちでは「エルメスはブランドではない」と言っているのは面白い。ものが溢れている現代では、「品質がよいから売れる」わけではないと思う。その点、ブランド=歴史であり、これまで経てきた時間が優位性の源泉とも言える。2016/04/14
しゅん
9
エルメスが馬具職人として成功し、そこからカバンをはじめとするファッションブランドへ転身して今の地位を築くまでの5代の流れを丁寧に解説してくれている。1960〜70年代には一度落ち目になっていて、日本での知名度も全くなかったという話が意外で、学びになった。エルメスが滅びゆく文明(アフリカや南米の少数民族)の技術をモノづくりに加えてる話は、搾取ではない文化交流とみる視点と、全ての芸術の資本主義化とみる視点が併記されている。2020/12/22