内容説明
ある私大の新学期、文芸学部教授の授業「近代国文学演習1」に十七人の学生が集まった。「いまどきの大学生」が漱石の『三四郎』を教科書にして、講義の受け方、文章の書き方、テーマの絞り方、資料の収集など文学研究の基本を一から学んでいく。実際に提出されたレポートと辛口の採点結果を交えながら、テクスト論の実践が理解できてしまう一年間の“物語”。
目次
第1章 今年も新学期が始まった
第2章 国文学科のカリキュラム
第3章 最初の授業で申し渡すこと
第4章 まず文章を書く練習からはじめる
第5章 大学生が読む『三四郎』
第6章 夏休みには書店を回ろう
第7章 学生たちの秋
第8章 学生たちの『三四郎』
著者等紹介
石原千秋[イシハラチアキ]
1955年生まれ。成城大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程中退。東横学園女子短期大学助教授、成城大学文芸学部教授などを経て、早稲田大学教育学部教授。日本近代文学専攻。現代思想を武器に文学テキストを分析、時代状況ともリンクさせた“読み”を提出し注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マカロニ マカロン
10
個人の感想です:B+。『三四郎』文学散歩参考本。表題の通りに『三四郎』を読み解く本かと思ったら、主題は石原千秋さんが成城大学文芸学部教授だったときに『三四郎』を1年掛けて読み解いていく過程をドキュメンタリー式に記録した本。石原教授のゼミの進行方法、学生たちのリポートとそれへの配点と批評に重点を置いていて、この本は「学生と読む」が主で『三四郎』は従。書店でアルバイト経験のある学生の「書店分析」のリポートは興味深い(ただし2002年版なので、現在は閉店したり、様変わりしていると思うが)2023/09/22
しゅね
7
ひたすら『三四郎』を読み解いていく本かと思ったら、大学教育に関するエッセイに近かった。とはいえ学生が実際に書いたレポートと、それに対する筆者のコメントが読めるので、ただテクスト論を読むよりずっと作品との向き合い方が学べる気がする。読んでよかった。2021/05/24
あさこ
5
思いの外面白かった。国文学科の先生の1年間が学生のレポートとともに紹介されている。私は理系だったので文系ってこんな感じなんだー楽しそうだな。という感想。2014/10/02
鹿
3
題から受けた印象とは違い、中身は大学教授のお仕事についてなども書かれていた。レポートの書き方についてかなり詳しく書かれていたので、参考にしようと思う。私もこの本で言われている「学生になりきれない大学生」に近い気がするので、これから頑張っていこうと思う。2013/03/14
遥
2
一年以上前に少しだけ読んで、そのあとはずっと読むことができていなかったのですが、やっと読み終えることができました!いやあ、長かった。私も『三四郎』を演習で扱う身なので参考にと再び読み始めたのですが、どちらかといえば石原さんのエッセイを読んでいるような気持ちで堅苦しくなく読めました。よくできたものを選んでいることはわかっているけれど、それにしても大学生にしては本当によくできたレポートばかりで、自分の担当回がやってくるのが不安で仕方ない…2016/10/19