新潮選書
早すぎた天才―贋作詩人トマス・チャタトン伝

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  • サイズ B6判/ページ数 318p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106035081
  • NDC分類 931
  • Cコード C0323

内容説明

1770年8月、ロンドンの片隅で若き詩人は毒を仰いだ。10歳で詩作を始め、古語を用いた「贋の中世詩」で才能を開花させるも、貧窮、孤独、絶望のままに終わったチャタトン。後世、ワーズワースら浪漫派の巨匠に激賞されたその詩魂と、哀切な生涯を描き出す。慈愛に満ちた著者の視線が感動を呼ぶ屈指の評伝。

目次

第1章 聖レッドクリフ教会の少年
第2章 輝ける夏
第3章 「贋作」の明暗
第4章 彼方なるロンドン
第5章 時代の潮流と諷刺詩
第6章 「遺書」と旅立ち
第7章 水と黒パン
第8章 前途洋々たり
第9章 17歳の春
第10章 暗転
第11章 絶望の夏

著者等紹介

宇佐美道雄[ウサミミチオ]
1926年生まれ。1950年、東北帝国大学文学部英文学科卒業。名古屋工業大学教授、フルブライト交換教授としてウエスト・バージニア大学出講などを経て、現在、名古屋工業大学名誉教授、東京都立科学技術大学名誉教授。19世紀浪漫主義詩人を中心に研究
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みかづき

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「開かせていただき光栄です」から。作中の彼がそのままそこで生活をしているようで、伝記を読んでいるのにまったくそんな気にならないという一風変わった読書体験になった。その早熟の天才ぶりと自尊心の高さには脱帽。当時の出版業界の事情などもあわせて面白かった。2017/11/14

RingGing

0
皆川博子『開かせていただき光栄です』のモチーフの一つ。薄幸の天才詩人の伝記。詩で生計を立てる、というプライドがやがて自死へと向かう様は、『理解されない』と思う部分のある若者に共感を与える。それにしても、5ギニー(1700年代では13万円ほど)を持って都会に行き、四ヶ月で死ぬというのは、施しを受けない自尊心と、家族に頻繁に贈り物をする、劇を見る等の金遣いの荒さのこともあるけれど、なんというか、儚い話だと思う。文章を書いて生きることを志す、あるいは志した者の心に強い感銘を与える人物だと思う。2014/02/12

若い脳

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再読。歴史に溺れた早熟の天才は自分の中の理想像である。2011/09/26

sohya_irej

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十八世紀英国の少年詩人トマス・チャタトンの伝記。貧しい母子家庭に育った詩人が十七才にして毒を仰ぐまで(その後の補足も有)が、当時の証言や後世の検証などを織り込みながら克明に綴られている。タイトルにある贋作とは、彼が中世の英語を用い、書き上げた一連の擬古詩のこと。チャタトンはそれらを十五世紀に生きた詩人トマス・ロウリーの作だとして各方面に売り込んだ。2010/06/09

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