内容説明
何がどのように禁じられてきたのか。「様々な条件の制約により」その記述を清代で終わらざるを得なかった本書に、訳者後書きとして「現代の禁書」の章を加え、今もなお続く苛烈な言論弾圧の歴史を明らかにする。中国文化の裏面に迫る禁断の書。
目次
第１章 稚拙な残酷さ―中国史上初、二回の禁書事件
第２章 北方の暴風―漢から唐、五代の禁書
第３章 文治の陰影―南北宋朝の禁書
第４章 意外に鷹揚だった元朝―異民族支配が幸い？
第５章 専制ますます強まる―漢民族復権の明朝
第６章 残酷なる報酬―満州民族の清王朝
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
古代から近現代に至る、中国の禁書の歴史。中国史の知識があった方が理解し易く、又文体が硬いというか中国のものなので余り読みやすくはないが、禁書という視点で中国の歴史を概観するという、なかなか際どい内容。各時代で、危険な内容と見做された書を書いた著者やその周辺関係者への弾圧が繰り返されていた。やはり資料が多いのだろうが、貧民出身の朱元章が知識層を弾圧した明時代や、満州人王朝故に漢人の民族意識を警戒した清時代の記述が詳しい。内容が清で終わっているが、訳者による清朝以降の補足があるのは、政治的に微妙だからか 2017/11/02
