内容説明
好評の“謎ときドストエフスキー”シリーズ第三弾。三たび〈謎とき〉に挑む。ムイショキンは、キリスト、ドン・キホーテ、驢馬など何重ものイメージを象徴。エパンチン家の三姉妹はギリシヤ神話の三美神を連想させる…。
目次
1 「美しい人」の屍
2 驢馬と「哀れな騎士」
3 黒馬と緑の衣
4 白痴と狂人
5 生命の源泉と死の源泉
6 「復活のナスターシヤ」
7 世界を救うのは「美」…
8 ドン・キホーテの再来
9 病める獅子の放浪
10 ロゴージンの謎
11 悲劇の重奏
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
13
同著者の「謎とき罪と罰」に比べるとやたらと本文からの引用の割合が多く、かつ章を跨ぐとリセットされたかのように同じ箇所からの引用が連発されている印象。「白痴」はまだ一度しか読んだことがなく、馴染みがまだあまりないこともあったせいかもしれないが、自分の中では盛り上がりに欠けた。ただ、「白痴」はまた近いうちに再読を考えているので復習(予習?)のためにはちょうど良い一冊であったことは確か。2021/05/30
てる坊
4
現代小説を知るうえでドストエフスキーは欠かせない。本は必ず秘密が隠されている。みどりはマリアのマントの色とか。知ることで美しい人間を描くのに苦労しているのかよくわかる。著者が最も愛した白痴。2017/06/22
人工知能
4
ドストさんの長編「白痴」をわかりやすく解説。謎ときシリーズでは「罪と罰」、「カラマーゾフの兄弟」に続く3作目。これを読みながら白痴の内容を思い返した。正直前2作に比べると謎とき度はやや浅めだと思った。「小説のいちばん主要な構想は本当に美しい人を描くことです。これ以上に困難なことは、この世には何もありません。とくに現代においてはそうです。・・この世にただ一人本当に美しい人物がおります-それはキリストです。ですから、この無限に美しい人物の出現は、もう言うまでもなく、永遠の奇跡なのです。」(ドスト談)2014/10/19
Tonex
3
他のドストエフスキーの作品と同じく『白痴』にもさまざまな仕掛けが隠されていることはわかったが、この本には『白痴』を読んだときに生じる疑問に対する答えはほとんど書かれていない。小説の引用やストーリー紹介ばかりで、肝心の謎ときは少ない。内容の復習にはなるが、ますます謎は深まるばかり。2014/09/03
Iwata Kentaro
2
とても勉強になる。が、どうでもいいこともある。ムイシキンやロゴージンの性的能力とかは正直どうでも良いし読者が各人想像すれば良いことだと思う。だからこそドストエフスキーも明言しなかったのだろう。「カサブランカ」のリックとエルザの邂逅のように。ただ、ミステリーとしても傑作の白痴はまた読みたいし本書も再度参照したい。てか、ロシア語が読めたらなー2019/02/12