内容説明
美術館や博物館で名品の前に立つとき、いかにしてそれはそこにあるのかと問う人は少くないと思う。本書はその問いに答えるための最初の試みである。私はここで紀元前19世紀から現代に至るまでの13の作品をとりあげた。中には「名品」から「贋作」に転落したケースもある。いずれもドラマチックな経験をしていて、そこに蠢く欲望と理想、個人と国、美術と政治の様相はまことに興味ぶかいと思う。
目次
ミロのヴィーナス
ネフェルティティ王妃像
アッシリアの有翼人面獅子像
デルフォイの御者像
エジプト財務官の像
チャドの祖先像
エルチェの婦人像
マフディアのアフロディテ像
エトルスク戦士像
エルギン・マーブルズ
タッファ神殿
敦煌の仏像
「モナ・リザ」の肖像画