感想・レビュー
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とーとろじい
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スペイン風邪の名称の一件は有名だが、梅毒もイタリア人がフランス病と名付けたりフランス人がナポリ病と名付けたりヘイトが渦巻いていたようだ。交易の道・シルクロードを伝ってくる病原体(天然痘、ペスト)と海上の道を通ってくるもの(梅毒、コレラ)とを分けて、異文化接触が感染症流行の契機となったことを論じている。昔の日本人が病気を神としてまつりもてなしたことに触れ、現代人の病気の認識を危惧しているがその部分は反科学的な危うさを感じる。江戸の庶民が流行り病や飢饉にどう対処したかについて具体的なエピソードが印象深かった。2021/11/17