感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TakaUP48
62
いつも明日の準備に追われ続けていた日々。数日の旅行や休暇さえも、何日か後の予定を考えると満足に休めなかった日々。作者の画を見ていると、そんな日々が嘘のように時が止まったように感じてしまう。作者の作品やこれまでの人生、創作の思いと背景に流れる音楽、そして旅先でのスケッチ。どれを読んでも興味の湧く話でした。自然の征服を目指した西洋と自然との調和を求めた日本。その自然に対する相違が人物画や風景画に現れているという。自然の一隅を題材とする場合が多いのが日本風景画の特徴だとも。幾多の作品を、じっくりと鑑賞したい!2023/01/30
ふじあつ
12
★★★☆☆ 東山魁夷さんの歴史を自らの言葉で綴っている。気持ちの動きや作品の変遷などを書かれており芸術家の考えに触れることができた。出てきた絵が全て白黒なので,ネットでググりながら読んだ。その場にいるような感じになり,情景と文章がミックスされて楽しかった。2022/03/26
きりさめ
5
東山魁夷の文章初めて触れたけど、若干後半以降感傷的過ぎるところを除けばすごく日本画的な繊細さを持った良い文章だ。戦後の日本画界隈の状況を知れる資料にもなる。著者が東京美術学校に入学し、留学、それから入隊や終戦を経ていくなかで、どのようにして謙虚にストイックに自然と対話する感性を養ってきたかが語られるので、日本画のみならず絵や創作をする人への自己啓発としてこの本を推したい。2021/12/03
も
4
何読目かわからない。読む度に、もっと読まなければならないことを実感する。東山魁夷というヒトに深く惹かれる。2021/03/19
さたん・さたーん・さーたん
4
日本画家の各地放浪の記録、自然との対峙、己の内外に流れる力の発見。主に国内の山地を廻り、作品の題材を集めていくが、北欧の地にも足を延ばして高い親和性を見せる。終盤では海沿いも周り、波動に大いなる力の存在を知覚。「遍歴・郷愁・帰郷という円周運動」として自己と自然の大小の円環を悟るに至る。画家の息づかいを感じたところで、今度は実際に作品の色づかい・筆づかいを見てみたい。2018/08/27