友情―ある半チョッパリとの四十五年

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  • サイズ A5判/ページ数 253p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103675044
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

君が自分の友を誇りに思えるように・・・。そう言い残して自裁した男との交友を軸に、敗戦から現在に至る「時代」を感じとり考えぬく、自伝的長編評論。

内容説明

北辺の地に生い立ち、行動面での八九三の世界に入った友と、思想面での八九三の端くれとなった私。二人の交友が四十五年にも及んだ秋、友は憤怒と絶望の余り、自ら命を裁つ。誇りと共に、厖大な手記を私に託して…。BC級戦争犯罪の廉で処刑された朝鮮人の父と、家族のため苦界に身を沈めた母との間に生れ、半日本人奴と呼ばれた男。私が出会った数多くの人物の中でも最も感動に値する男。その友と私が、愁い顔の騎士よろしく刃むかい通して生きた「時代」―敗戦期からバブルの破裂以後に至るまで―を思い出し感じとり、深々と考えぬく自伝的長篇評論。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

33
「君はいま何を考えているんだい」「公にやることがなくなったら、そしてそれ以上生きていたら周りに迷惑をしかかけないということになったら、自分で死ぬしかないと考えている」先日、自死した西部邁さんが書いたノンフィクション。父親が朝鮮人の高校時代の友人の壮絶な生涯を記したもの。札幌南高校を中退後、ヤクザになったこの友人も自死しており、西部さんの自裁にかなり影響を与えたのでしょう。この本が「遺書」のように感じます。北海道はさまざまな土地のアウトローが集まり、其々が重い過去を背負い出来た歴史を改めて思い起こしました。2018/02/14

kanaoka 56

6
戦後の北海道という、時代と社会の暗さが印象的である。 戦後思想の純粋培養地と彼がいう、北海道で、彼と彼のやくざの友人が歩んできた経歴、そして、幼少期における感情の核心が、彼の保守思想を強く支え、形作っている。2019/09/01

0
海野さんは荒んだ人生を送らざる得なかった人ですが古い友人の西部さんができうる限りの力を尽くして彼の遺書からこの本を形にしたことで、ほんの少し報われたのではないかと思います。私は北海道の開拓時代のことは全然知らなかったのですがこの本を通して少しだけ当時のことを知ることができたように思えました。2013/10/25

マウンテンゴリラ

0
本書を通して強く感じさせられたことは、アウト・ローであろうが模範者であろうが、そのような社会的評価の枠組みよりも大切なものがあるということであった。著者が主人公である友人に強く惹きつけられ、読者にも共感を与えるものは、どのような境遇にあってもとにかく誇りだけは捨てずに生きる姿勢であったと感じられる。主人公の海野氏にとって、それは任侠道の精神を貫くことであったと思われるが、より一般的なスタンスで言えば、誇りを捨てて我欲に走る大衆人ではなく、私欲を捨てて公に生きる庶民の姿勢を堅持することであろうと思われる。2012/10/10

kinoko-no

0
著者西部邁氏と八九三の海野治夫氏の45年にわたる「関係」を著した長篇批評文。戦前戦後の北海道で空腹のなかでお互いを見出した彼ら。両親の生い立ち、差別(実は逆方向の差別だった)、その後の家族の行方、任侠の世界、妻と娘、そして自ら決したその最期。海野氏の人生は壮絶ではあるが、彼も西部氏もお互いに真剣に向き合っているからこそなのか、冷静に客観的に自分たちの関係を見つめているように思える。2011/05/29

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