新潮文庫<br> カオス―新しい科学をつくる

新潮文庫
カオス―新しい科学をつくる

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  • サイズ 文庫判/ページ数 536p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784102361016
  • NDC分類 415.5
  • Cコード C0140

出版社内容情報



量子力学、相対性理論に次ぐ科学の革命と言われるカオスが発見されるプロセスを、サクセスストーリー的に、しかし、科学的正確さをそれほど失うこと無く描き出した、科学ジャーナリズムの好著。

●部分と全体をまたぐ
個体を超えて、まるで一つの生き物のように呼吸する社会や自然……。システムの「部分」と「全体」は決して切り離されたものではない。豊かな細部はめまぐるしく変化し、時として全体が思いもかけない表情を見せる。「知」はそのふるまいを部分と全体をまたぐ「関係」の中に記そうとしている。

 近代科学は対象を冷ややかに見つめ、解剖するように分割する方法で自らの知に取り込む作業を長く試みてきた。これらの「科学的方法」は、細部にむかって洗練され、研ぎ澄まされて、社会の機械的な発展を促してきた。
しかし、自然や生命、社会のふるまいは、そのような断片化・細分化した「知識」の単なる集合では捉えがたいことが判明しつつある。
最先端の知が「複雑系」「カオス」「システム」「ファジー」「情報幾何学」といった「全体と関係」への視点を踏まえた独創的な方法論を通じて、この豊かな全体像を捉えようとする果敢な試みを紹介する。

内容説明

天気予報はなぜ当らないか?水や煙の流れ、人口など生物個体数の増減はなぜ正確に予想できないのか?データ不足による誤差が予想を不確実にすると考えられていたが、実はいくらデータを集めても自然は捉えられない。“予測不可能”なものを予測するための全く新しい科学の考え方、「カオス」。相対論、量子論に続く今世紀最大の発見といわれるこの考え方の秘密を、やさしく説明する。

目次

第1章 バタフライ効果
第2章 革命
第3章 いのちの満干
第4章 自然のジオメトリ
第5章 ストレンジ・アトラクタ
第6章 普遍性
第7章 実験者
第8章 カオスのイメージ
第9章 力学系集団
第10章 内なるリズム
第11章 カオスとその彼方

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

naimon

20
自分の考え方を根本から変えた、最高の1冊。再読。名作。どうして葉っぱのカタチはどれも似ているのか?どうして四季は巡り続けるのか?ノイズを含む壮大な「現実の営み」を全体的なカタチから解読するための革命的理論である「カオス」。なかなか難しい内容だが、表面的な理解だけでも、この理論の凄さと正しさが分かる本。この現実世界を創りあげた「神の設計図」の一端を感じた。言い過ぎじゃない!2010/04/18

roughfractus02

10
カオスとは何かと問えないのは、カオスが対象でなく事象(event)だからだろう。全体を部分に分割する分析手順では経験等の既に整理されたデータを用いるが、部分から全体を構成する予測手順では生の諸部分が独自の振る舞いをして全体への過程を歪める。知の方向を過去から未来に変えると未知が現れるのだ。日常に溢れつつ特異なこの事象の群に、本書はローレンツ、メイ、マンデルブロ、スメール、ファイゲンバウムら各々の試行錯誤と数学的直観から接近する。一方、彼らが示すのは、この複雑な非線形的世界にも共通の数学が存在する点である。2020/01/10

羊山羊

9
20世紀の科学は不確定で、流動的な事象への挑戦の時代だった。その片翼を担うカオスという分野の発達を総体として分析していく1冊。何て学際的な分野なのか。私たちのありとあらゆるものに関わる根源的なジャンルである。また、PCの発達なくしてはこの膨大な量の計算を必要とする科学の発達はありえなかった。カオスを学習するための入口としても、科学の発展の興奮を知る1冊としても。非線形、スケーリング、フラクタルといったカオスを知るキーワードを知る1冊としても。2019/12/10

卯月

5
職場本棚。原著1987、邦訳91。索引が欲しいカオス研究史。分野横断して新分野が育つ過程が面白い。1章60年代、ローレンツの天気予報と「初期値に対する鋭敏な依存性」。2章トポロジー、スメールの馬蹄。3章70年代、集団生物学の個体数変動、ロジスティック方程式。4章マンデルブロの「フラクタル」。5章ストレンジ・アトラクタ。エノンと銀河系の星の軌道。6章ファイゲンバウム、普遍性。混沌の中の秩序。7章リブシャベールの乱流実験。8章マンデルブロ集合。9章サンタクルス・グループ、蛇口の水滴。10章80年代、心室細動。2018/03/14

しんかい32

5
70~80年代ごろ、さまざまな分野の学者たちが別々にカオスの問題に直面した経緯が書いてある本。ワールドロップの「複雑系」と似たような読後感。どちらも超人列伝系科学本で、先端領域ですごい学者たちがすごい研究をいろいろやってるのはわかったが、それ以上のことはぼんやりとしかわかりませんでした。心臓とカオスの話はけっこう面白かった。文系の感想としてはそんなもん。2010/12/23

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