出版社内容情報
ページをめくってみたら、冒頭の、「賭けをした男が牛の体内にもぐり込む。もぐり込んでみて、結局そこに居すわることにする・・・・・」という書きだしが面白いので、立読みをはじめた.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』347頁、より)
内容説明
一人の男が飛行機から飛び降りる。涙を流しながら、靴箱いっぱいのラブレターを空中に投げ捨て…・魚を先祖に持つ女の逸話・世界で最後の煙草を持った男が、ブロンド女からマッチを手に入れようと苦労した物語・サルタンのハーレムを警備していた私が、テントの中を覗き込んで見たものとは…などなど、あなたが昨夜見たかもしれない、リアルでたのしい悪夢、149本の超短編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tαkαo Sαito
94
超短編集です。好き嫌いが極端に分かれると思いますが個人的にはすごく好きです。正直つまらない、分かりにくい話も多いですが149も話がつまっているので「これはヤバい」とビビッと来るものも多々あります。自分はエクセルでタイトルとページだけメモしてます。また物語中の言葉の使い方が半端じゃないです。例えば「私は世界で最後の一箱の煙草を持っている。だがマッチがない。」の出だしで始まったり、「スタートしようかどうか迷っている恋愛のせいで、女としての体の新陳代謝がこのところめちゃくちゃになってしまったのだそうだ。」など。2015/08/23
キジネコ
62
例えば「私は地下鉄で一人の女の子と向かい合わせに座っている」という書き出しで始まる「鼻〇〇」という悪夢…「私の父がゴリラに変身する」の「動物たち」とか、「私は父親を壜に入れて飼っている」?「壜の中に」なんてモーどうなるのか?展開が気になって…そのての話が149も編まれております、此の本。「一人の男が飛行機〰」も題名ではなく「スープの骨」という悪夢の書き出しなんです。「ナイトキャップにオススメ」と訳者の柴田モッキー殿も書いておられますが、くれぐれも一夜に一話で… 度を越しますと悪夢の出口が閉じてしまうので…2020/09/23
えりか
40
1話が1ページから5ページくらいの短編集。怖いような、切なくて泣きたくなるような、笑ってしまうような、そしてちょっと淫靡な、そんな「たのしい悪夢」がつまっているので、読んでいるとウッカリ世界に巻き込まれる。賭けをした男が牛の体内にもぐりこんだり、女の子の流す涙が美しい小さな花を咲かせたり、シャボン玉から現れる亡くなった父親など、奇想天外なのでサッパリ訳わからないけど、それがいい。だって夢だもの。それと両親への執着、特に父親への尊敬と軽蔑が入り交じってる想いが伝わる話も多く「親」というものを考えさせる。2015/12/02
サンタマリア
37
前半の『一人の男が飛行機から飛び降りる』は予想外の展開の連続で結構楽しみながら読んだ。あれ、ページをめくりすぎたのかな?とおもうこともしばしば。後半の『父の頭をかぶって』はそんなメチャクチャな展開は鳴りを潜め、前半に比べればという話だが、一見すると地続きなストーリーだった。むぅ。2023/03/05
たま
24
ショートショートが149本も収録されているので、どこに行くにも持ち歩いて、少しずつ少しずつ読みました。ここ数ヶ月、ずっと一緒だったなぁ(^^)内容はというと、見たいような見たくないような、でもやっぱり見てみたい?、そんな"たのしい悪夢"。不穏で不気味で読んでいると宙に浮くような、大好きな感覚が味わえました。また、書き出しが素晴らしいとも思いました。続きを読まずにはいられない書き出しが多かったですね―。ユアグローの他の作品も読みたくなりました。2012/10/29