内容説明
はじめに袋とじのまま、短編小説の「消える短編小説」をお読みください。そのあと各ページを切り開くと、驚くべきことが起こります―。そして謎の超能力者と怪しい奇術師、次次にトリックを見破るヨギガンジーが入り乱れる長編ミステリー「生者と死者」が姿を現すのです。史上初、前代未聞驚愕の仕掛け本。
著者等紹介
泡坂妻夫[アワサカツマオ]
1933‐2009。東京・神田生れ。家業の紋章上絵師の仕事をするかたわら推理小説を書き、’76年「DL2号機事件」で第一回幻影城新人賞に入賞しデビューした。’78年『乱れからくり』で日本推理作家協会賞を、’88年『折鶴』で泉鏡花文学賞を、’90(平成2)年『蔭桔梗』で直木賞を受賞。マジシャンとしても著名で、創作奇術で石田天海賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
312
すごいのは、このような本の発想を思いついて、しかもそれを実現させてしまう根性と技量。なので、短編小説がスカスカで文章もチグハグなのであまり意味を成していないとか、長編小説のトリックが陳腐ですぐにとりっくがわかってしまうとか、そういうのは瑣末な問題であることはいうまでもない。また、いちいち袋とじを切り分けていくのが面倒だとか、不器用な人は上手く切れずにフラストレーションがたまるというのも、それすら受け付けられない度量の狭い読者を断る潔さがある。のだろう。2017/12/12
hiro
132
泡坂さんの本は、『しあわせの書-迷探偵ヨギガンジーの心霊術-』に続いて2冊目。TVで『ビブリア古書堂』の三上延さんがこの本を紹介していたので購入した。泡坂さんの仕掛けは、読者はもちろんだが、同業者の作家にとっては、それ以上の驚きだろう。あとがきでは『しあわせの書』の苦心談が書かれているが、この本の仕掛けはそれを上回る苦労があったのでないか。『しあわせの書』と違って、はじめから仕掛けが明かされているのも面白く、短編を読んだ後に長編を読むと、ある見開きのページにくると読んだ記憶があるという不思議な小説だった。2014/02/27
Tetchy
128
ストーリーやプロットに驚嘆はない。もうこれはひたすら文章構成に全てがある。これは推理小説界のみならず、文壇史上最高の仕事だと云っても過言ではないし、また歴史に残る一作と云ってしまいたい。日本語の持つ二面性を巧みに利用して行間さえをもトリックにしてしまう技の冴え!頭の中身はどんな風になっているのだろうか?小説にはまだこんな奇跡を起こす事が出来る、そんな無限の可能性を感じさせた一作だ。ちなみに私、短編用と長編用で2冊持ってます(^^)v2009/04/24
のぶ
80
20年以上積んであった本を手に取った。16ページごとに袋とじにしてあり、そのまま読むと短編小説として読め、袋とじを切り離すと長編になり短編は消失してしまうという企画本。まず短編を読んだが、これといった内容はなく、こんな事もできますよ、といった程度。その後長編を読んだが、こちらはガンジー先生が探偵役の超能力もの。ストーリーとして特に面白いところはなく。マニア向けの一冊といった印象の本。生前、奇術師でもあった泡坂さんらしい作品。2017/12/05
ケイ
79
なるほど。これは図書館で借りてはいけない本だったのだと、読んだあとに他の方の感想を見て気付いた。本来は袋とじだったのですね。なにかおかしいと思った。袋とじのまま読んでいたら、トリックとしての面白さはあったと思うけど、トリックを楽しむもので書物としてはどうでしょう。友人に面白いから買ってとまでは言えないかな。技に凝りすぎで、実が伴ってないのでは。2015/01/14