内容説明
我らの頼り、志賀城が落ちた。信濃での平穏な暮らしは武田軍に踏みにじられた―。その日こそが、戸波市郎太の原点となった。若者は軍師の弟子となり、戦国乱世に遍歴を続けた。だが師の逝去により、その道を絶たれてしまう。運命は、彼を名高き近江の石積み、穴太衆のもとへ導いたのだった。鍛えあげた戦略眼と最高峰の技術を受け継いだ男は、やがて、日本一の城造りとなる。
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950(昭和25)年、北海道生れ。札幌月寒高校卒。本田技研勤務を経てフリーに。’79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。’90(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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RIN
32
『獅子の城塞』がめちゃくちゃ面白かったので、その父の波乱万丈の人生を辿る本作へ。大物(?)城持ち領主の主だった合戦しか知らず、郷単位のお館さまごとに領民がおり士分もいるという当たり前のことを見落としていたことが一つ。城を取ったり取られたりの戦も”城の作り”から戦況が変化するという見どころも。勿論、佐々木さんの歴史小説は冒険小説でもあり、これも恐らく一気に読みたいところ。2017/05/13
ケンケン
25
(614冊目)「麒麟がくる」に感化され随分と積読していましたが、これは面白いではないか!? 城好きにはたまらない石積み集団・穴太衆が主人公だけあって、普請の流れや城造りのイロハなど興味深い内容で一気に読了し、下巻へ。 もちろん、松永久秀は吉田鋼太郎さんで脳内再生中ですわ(笑)2020/01/24
ちび\\\\٩( 'ω' )و ////
18
戦国時代の話しが好きな自分が、天下城という題名に心奪われ、上下巻購入。所謂戦国物を期待していたが、石積み職人の物語で、余り期待せずに読み進めていたのだが、戦国大名、戦国武将のように、読む前からある程度知っている、所謂メジャーな人物のお話しではないので、先が読めず引きこまれていった。結構面白い。序盤は軍師を目指す内容が進んでいくんだな、と思っていたらまさかの石積み職人のお話し。有名大名、有名武将、有名な町人。たくさんの人と出会い、各地に遍歴して知識と技術を鍛えあげていった市郎太は、城造りの腕を磨いていく。2016/11/12
YONDA
18
穴太衆という特殊技能集団のひとりを主人公としたのは面白い。兵法者を目指していた主人公が、乱世の中で生きていく道を石積みに見出だす潔さは羨ましくもある。上巻では城戸や堀の石垣詰みの描写しかないが、上巻ではいよいよ城の石垣造りが始まる。佐々木譲さんの警察物は今までに沢山読んできたが、時代物も面白い!2016/04/29
MarsAttacks!
17
大河ドラマの影響か、戦国物が読みたくなりこの物語を手にしました。佐々木譲さんの戦国物?最初はどんな物かと心配でしたが、そんな心配も吹き飛ばすぐらい面白く読みやすいです。「石積み衆」という歴史に埋もれてしまう存在の主人公ですが、彼の信念と松永久秀や織田信長などの戦国武将たちが物語を彩ります。下巻は安土城建築へ、そしてその後展開が楽しみです。2011/01/29