出版社内容情報
平安の宮廷で華麗に繰り広げられた光源氏の愛と葛藤の物語を、新鮮な感覚で「現代」のよみものとして、甦らせた大ロマン長編。
内容説明
現代のヒーローとして甦った“光る君”。平安の宮廷で華麗に繰り広げられた光源氏の愛と葛藤の物語を、新鮮な感覚で“現代”のよみものとして描いた大ロマン長編―比類ない美貌と知性、そして高貴な身分を持つ源氏は、至福の愛を求めて、許されぬ恋、苦しい恋を重ねる…。上巻には、「眠られぬ夏の夜の空蝉の巻」より「佗びぬればはかなき恋に澪標の巻」までを収める。
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928(昭和3)年、大阪生れ。樟蔭女専国文科卒業。’64年『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』で芥川賞、’87年『花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女』で女流文学賞、’93(平成5)年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞を、’94年菊池寛賞を受賞。また’95年紫綬褒章、2008年文化勲章を受章。小説、エッセイの他に、古典の現代語訳ならびに古典案内の作品も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
132
ここ数日、毎日のように少しずつ本を捲っては、ため息をつくように少しずつ少しずつ読み進めているのが、『新源氏物語』なのです。もちろん、紫式部の原作が素晴らしいからなのでしょうが、田辺聖子さんの現代語訳が読みやすいんですよね。だから、違和感なくすぐに源氏物語の世界に入りこむことができます。隆盛から没落までを描いた上巻は、目が離せない面白さですね。小説であるのに、まるで平安の貴族たちの様子を垣間見ているような気持ちになってしまいます。改めて、源氏物語というのは素晴らしい物語だということを実感しましたね。2014/06/19
紅はこべ
108
田辺聖子さんの訃報を聞いて、これは読みさしで終わっている。藤壺の源氏への恋心を描いているのが印象に残った。2019/06/11
ykmmr (^_^)
96
実家に漫画版の『源氏物語』があり、読んでいたので内容は知っていたが、小説として読んでみようと思った。原文はやはり…。父もそう思ったから、あえてマンガにしたんだろう。言うまでもないplayboyで、彼の美しさ・スマートさ・才能・家柄など、それを許される要素満載で…。自分なりには色々悩み、苦心しているけど、幸せすぎる人生よね。それで、後々まで引きずる過ちまで…。でも、どうしたら、こんなに一気に沢山の人を器用に愛せるのかしら?豊臣秀吉顔負け。日本のカサノヴァよね。(秀吉・カサノヴァは実在ですが…。)2021/10/22
優希
72
華やかな恋愛模様の世界でした。平安の世でここまで華麗な愛と葛藤を味わった人物は光源氏くらいかもしれません。美貌と知性を武器に至福の愛を求める姿は眩く感じられます。関わる女性たちからそれぞれ魅力を見出しているのは、光源氏が恋愛至上主義にあるからだと思います。これから広がる恋愛模様も読みます。2019/01/16
aika
54
田辺聖子さんの描く源氏と彼が愛した女性たちの心の揺らめきに、源氏物語の印象ががらりと変わりました。数多の女性を愛した源氏が苦節を経て政治的な手腕を発揮するに至る姿を通して、単なる恋愛小説ではない、きらびやかな絵巻の奥底に死が人を隔てる仏教的な無常観や縁起思想を宿した幾重にも奥深い物語でした。誇り高い葵の上が、とうとう源氏と心が通って本当の夫婦になれた場面は、学生の頃と変わらず安堵の気持ちを覚えます。恐い印象を抱いていた六条御息所には、猛り狂うほどの愛情のそこはかとなさがあまりにも憐れに、哀しく感じました。2020/04/05