内容説明
いまや二郎三郎は、秀忠を自在に操る家康なみの智将であった。彼の壮大な夢は、江戸・大坂の和平を実現し、独立王国=駿府の城を中心に自由な「公界」を築くことだった。キリシタン勢力を結集した倒幕の叛乱を未然に防ぎ束の間の平安を得るが、秀忠の謀略から遂に大坂の陣の火の手が上がる。自由平和な世を願い、15年間を家康として颯爽と生き抜いた影武者の苦闘を描く渾身の時代長編。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちび\\\\٩( 'ω' )و ////
109
影武者として生き、関ヶ原の戦いから家康として生きた男の生涯。幾百年続いた戦乱の世は、豊臣家の滅亡という形で幕を降ろす。関ヶ原以降の家康の行動は確かに不可解な点が多い。何故将軍職にすぐ就任しなかったのか?二年後の朝廷の内意を断り三年も引き延ばしたのか?何故たった二年で秀忠に譲ったのか?先の行動に秀忠と対立する形が目につくのか?最晩年に駿府を大改造し堅固な城を築いたのか?この物語は創作ではあるが、その謎の答えが歴史の真実だったように読み手に思わせる力強さがある。影として生き天下を平定した男の怒涛の生涯。完結。2017/02/18
あーさん☆転スラ·薬屋·本好き·魔導具師ダリヤ続々アニメ最高です!!(≧▽≦)
93
徳川家康は最後フグの天ぷらを食べ過ぎて死んだ問題を解いたのに違うんだなぁ〜(¯―¯٥)まず、二郎三郎は家康として15年頑張って影武者したよ話(¯―¯٥)2019/10/04
財布にジャック
90
隆さんが読者を楽しませながらも、史実に沿うように努力されているのが、ひしひしと伝わってくる良作でした。この影武者という設定もさることながら、影武者でありながらも大変上手くたちまわる主人公の言動や、豪華ブレーン達、そしてライバル達の存在もこの物語を大変盛り上げてくれていました。叉、最終巻なのでどう締めくくってくれるのかと楽しみにしていましたが、この終わり方で大満足です。2013/04/18
ken_sakura
70
鉄板♪( ´▽`)信長や秀吉には無い徳川家康の趣味嗜好の変化に、関ヶ原の合戦当日の影武者入れ替わりを捩じ込んだ気宇壮大で且つとても面白い必殺の大衆小説(^O^)/世良田二郎三郎と本多正信のカラッとお互いが手前勝手な関係が好き。秀頼の若い諦め、若い狭さは身につまされる。実は、秀忠の虚仮の一念と青蛙の藤左はお気に入り(^_^)薦めてくれたおもしろ本棚の先生に感謝。2016/11/19
saga
65
二郎三郎はあくまで豊臣家との和平と、その後に招来する二大勢力によるパワーバランスを目指す。しかし史実は、豊臣が滅亡の道を歩む大坂冬の陣~夏の陣へと容赦なく進む。本作創出は『史疑徳川家康事蹟』が基となった大作だが、他の史料とも整合させる造りとなっている。もはや70歳を超し老齢の極みに達した二郎三郎には、秀忠、柳生の陰謀を完全に封じることができなくなった。そして最後に、「鯛の天ぷら」を食べたことが死因という逸話に、柳生毒殺を被せてきた!? 家康が影武者だったら……そんな物語を楽しませてもらった。2021/12/14