感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
149
「天北原野」とは北海道の北部、天塩(てしお)川と頓別(とんべつ)川の下流から北の平野のコトであり、その近くに住んでいる自分としては、やはり是非読んでみたい、いや、読むべき作品だと思っていました。とても今から45年ほど前に書かれた作品とは思えぬ違和感のなさは驚愕です。たくさん女流作家さんが輩出されているなかで、改めて三浦綾子さんは別格であり、別次元なんだなと。これでもかこれでもかとめまぐるしく事態が変わっていく展開にページを捲る手がとまりません。五百頁弱の大作ながら、イッキに読めてしまう筆力は段違いです。2021/06/03
遥かなる想い
77
戦前の樺太を背景に,貴乃と孝介の悲恋を軸に物語は 進んでいく。三浦綾子の小説には,『氷点』のようなある種毒を含んだ人間の罪を問う小説と, 『塩狩峠』のような人間讃歌とも呼べる小説があるが、本小説は後者に属するもの。それにしても、昭和初期の人たちは何と忍耐強いのだろうと最近 よく思う。恋のしかたも本当に静かで、でもそうであるがゆえに,限りなく 清冽な感じがする。
Smileえっちゃん
56
古本処分の為の再読本。北海道の自然を舞台に書かれた長編本(上)貴乃と小学校長の息子孝介は結婚を誓い合った仲だが、貴乃に恋する完治の恐ろしいたくらみによって、村から追われ、樺太へ…完治は 強引に貴乃を妻にしてしまう。随分前に読んだので今とは感じ方が違っています。なぜ好きな人がいるのに、嫌な人と結婚するの? なぜ?なぜ?と思うことが多く(中)(下)巻に進みます。2020/07/13
TATA
38
三浦綾子さん初読み。これは確かに大河小説。戦前の北海道、愛を育み結婚間近の二人を引き裂く憎悪。そして舞台は樺太へ。引き裂かれてもなお、お互いに惹かれつつも決して報われることもなく更に複雑かつ困難な運命がまちかまえる。戦争の影が忍び寄ってきたところで下巻へ。感想は下巻終了後に。2018/03/11
ach¡
32
月曜の午前に読む本ではない(笑)コレ相関図つくったらえげつないぞぞぞ。氷点もゲスいが天北原野は輪をかけてゲスい。読みながら歯ぎしりでもしたか?本を閉じた時…顎関節に凄まじい疲労感。人間の業を嘲笑うかの如く冬の海が咆哮する。すれ違う運命も掛け違えたボタンどころの騒ぎでない。憎悪と悪意、嫉妬と復讐で張りめぐらされた男と女の罠がおぞましい。人間の汚い感情を詰め込んだ不幸の幕の内弁当。北の果てからル~ルルル♪と、こりゃ一発屋のゴロでも喰わん。一体ドコに落とし処をもってくるつもりだろ…怖い、けど見たい |ω・`))2016/02/22