内容説明
徳川家康が方広寺の鐘銘に難癖をつけるなどして強引に豊臣方を開戦に追い込むのを見てとった真田幸村は、密かに九度山をぬけ出て大坂城に入ることを決意する。大坂入城を果たした幸村は、外濠の外に真田丸と名づけた小さな砦を設け、これに拠って徳川軍を散々に打ちすえる。この一戦によって幸村の武名が初めて天下に轟くが、すでに家康の和平工作が淀君周辺に及んでいるのだった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
137
遂に大坂が戦場へ。豊臣滅亡を狙う家康が最後の戦いへと追い込んでいくのはまさに物語のクライマックスだと思います。時代の流れを感じ取ったのか、密かに九度山を抜け出し、大坂城へと入城した幸村。これを機に、幸村の名が一気に天下に広まったように見えました。真田丸を設け、徳川軍を散らすも、和平公約が進んでいたのは家康の策略といえるでしょう。豊臣の運命がいよいよ決まる瞬間が近づいているのを感じました。2016/11/09
とん大西
134
長きにわたり忍び忍んだその先。群像の萌芽は戦乱の終焉を告げる花冠となり、一気に現の世に放たれる。それは、家康の執念であり、草の者の飽くなき闘争心であり、佐平次の思慕であり、城塞の混沌であり、真田信之の憂いであり、そして真田幸村の生きざまであり。思惑と矜持が交錯する大坂冬の陣。もはや説明要らずのダンディズム。真田丸のテーマ音楽が終始鳴り響きます。2021/07/28
伊田林 浮刄
82
★★★☆☆①大坂方が勝つなんて思っちゃいない家康の白髪首をひとつ獲ったところで徳川幕府が倒れるとも思っちゃいない。ただ亡父に代わって真田の名を天下に知らしめたいというその一念のためだけに絶望しかない戦いに身を投じた幸村②投じた先は過保護な母君と大局観のない無能な家来に囲まれベイマックスと化した秀頼というこれまた絶望的な総大将。世の中「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」だったのですよ西軍の方々③「右府様のためではござりません殿のために戦うのです」そう言うお江はやっぱり男前2016/09/27
タツ フカガワ
76
生涯の仇敵お江を目の前にしながら、沼に沈んでいく甲賀忍者猫田与助。“幸村と過ごした長い長い歳月だけが、(おれの生きてきた証だ)”と、幸村がいる大坂城へ駆けつける足軽の向井佐平次。冬の陣を前に、男たちの切ない人生がさりげなく描かれるシーンが妙に心に残る第10巻目でした。樋口角兵衛も大坂城に現れるが、ただなぜやって来たのか、その理由は幸村にもわからない、という不気味さがいかにも角兵衛らしい。2023/04/19
たいぱぱ
74
ええっ!!真田丸って大阪城本丸から6km(一里半)も離れてたの!?大阪城の直ぐ側にあったものだとずっと思ってました…。ついに真田信繁が「日ノ本一の兵」と呼ばれることになる大阪冬の陣が始まる。もう既に僕の心は熱く激っております。後藤又兵衛もやはりかっこいい!そして恥ずかしながら知らなかった伊木七郎右衛門もかっこいいではないか!いつの時代もブレることなく信念を貫く漢たちはかっこいいのだ!果たして滝川三九郎と信繁は戦うことになるのか…。物語はついにクライマックスへ! 2023/12/04