出版社内容情報
その禄わずか四十俵の小倅から、今や陸軍総裁となった勝。しかし朝廷に対する慶喜の恭順の意は通ぜず、薩長倒幕軍の東征はとどまるところを知らない。幕府軍には脱走兵が続出、江戸の運命は風前の灯となった。勝一代の名文、和平への心血を注いだ一書を携えて、官軍総参謀西郷隆盛の許へ赴く山岡鉄舟。二百六十年の大権を握った徳川幕府の最期、江戸開城の日は刻々と迫る。
内容説明
その禄わずか四十俵の小倅から、今や陸軍総裁となった勝。しかし朝廷に対する慶喜の恭順の意は通ぜず、薩長倒幕軍の東征はとどまるところを知らない。幕府軍には脱走兵が続出、江戸の運命は風前の灯となった。勝一代の名文、和平への心血を注いだ一書を携えて、官軍総参謀西郷隆盛の許へ赴く山岡鉄舟。二百六十年の大権を握った徳川幕府の最期、江戸開城の日は刻々と迫る。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セロリ
46
いよいよ江戸城が官軍に引き渡される。無血開城だ。でもそうなるまでには、いろんな根回しあり、駆け引きありだ。人の力も大切。人財ね。適材適所を見極めて、差し向ける。それと、事をなすためには慌てるのもダメね。勝麟太郎はよく言う。時の勢いというものがあるんだと。大きなうねりの中で、溺れず流されず足場を固めて、今だ!ってときに飛び出す瞬発力。そういうものが大事なのね〜。5巻は巻末に勝海舟年表がついている。ありがたい。これ、1巻読むときから眺めていればよかったな。さあ、いよいよ最終巻だ。2023/06/08
B-Beat
28
★勝海舟をして日本史上の一大金字塔を打ち建てたと言われる江戸城無血開城。明治元年1868年の1月3日の鳥羽伏見の戦い直後に陸軍総裁に任ぜられた海舟。そこから4月11日の官軍による江戸城入城を見届けるまでを日常的な会話を交えた生活感あふれる筆致で描く。歴史の大転換点に直接関わるということも、その瞬間までの流れについては至って平穏で自然に落ち着くところに落ち着くというか、そんな泰然とした描写が返って海舟という人物の器量の大きさと日本史上の実績の偉大さを強調してみせたのかもしれない。残るは第6巻、明治新政。2015/01/16
ちゃま坊
16
官軍が江戸に迫る。フランスは幕府に抗戦をすすめ、官軍のうしろにはイギリスがついている。両軍が消耗したあと「漁夫の利」を狙うのは明らか。幕府は病み、すでに寿命を迎えている。ならば犠牲は最小にして看取りたい。勝の心中は列強国による侵略を最も用心している。江戸開城に尽力した高橋泥舟、山岡鉄舟、勝海舟の三舟、いずれもただもんじゃないな。2019/03/16
さっと
9
いよいよ江戸開城。ご存知、勝海舟一世一代の檜舞台だ。ひたすら恭順の意を貫く君主慶喜を思って、幕末の三舟そろいぶみ。人のいないと言われた幕府の中にあって、恭順の裏で万一に備えて江戸焦土作戦と慶喜亡命に手を尽くす勝海舟、慶喜警護の任にあって主戦派に睨みをきかす高橋伊勢守(泥舟)、「朝敵罷り通る」の使者・山岡鉄太郎(鉄舟)と、まったく、いいときにいい人が出てきてくれたもの。着々と進む無血開城の道のりも、たった一度の暴発で水泡に帰す危うさ。いつものようにとぼける勝だったが、その胸中はどんなんだったろう。2013/10/28
川仁雄平
7
勝海舟… いや、勝麟太郎。 咸臨丸での渡米、坂本龍馬との出会い、神戸海軍操練所の設立。 幕末に生きる志士達に様々な影響を与えた偉人。 しかしその何れかよりも 「江戸城無血開城」 これこそ勝麟太郎の起した大きな大きな偉業だと僕は思います。 当時敵は多かれど、未来に生きる僕は胸を打たれました。 弟子である坂本龍馬の言葉を借りて、 世の人は我を何とも云わば云え 我が成す事は我のみぞ知る2013/04/21