出版社内容情報
勤皇、佐幕、開国、攘夷激突の中の元治元年、蛤御門の変は幕府に尊攘派の中心長州藩を征伐する口実を与えた。だが、今や各藩に幕府の命は通じない。混乱の中、対立を排し国論の統一を計る勝の主張は受入れられず、軍艦奉行を解任され、至誠をもって奉じた海軍の事業も煙の如く消えて行く。そして、この人あっての勝安房守だった上様の薨去。将軍家茂わずか二十一年の生涯であった。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セロリ
43
大河小説だから、まとまったストーリーはない。ただ勝麟太郎の歩みを記す。3巻の初め、岡田以蔵との別れが切ない。勝麟太郎は、剣術を極め、学問を極め、人を惹きつける。いわゆるオーラってやつ?それに魅せられ集まってくる人との出会いが、次の出会いに繋がっていくのが面白い。若い将軍家茂が亡くなり、一橋慶喜が継嗣となるしかなく、勝麟太郎はその慶喜から長州との密談を頼まれて安芸の宮島へ。地元なのでちょっと嬉しい。しかし、全6巻のうちようやく半分。人の名前がどんどん変わるし、場所も時間もこんがらがってる。面白いけど疲れる。2023/05/09
B-Beat
25
★塾頭の杉純道との会話。「最近、何をしてる?」と海舟から尋ねられ、幕閣の諸氏に阿蘭陀の週刊誌の和訳をレポート提出して「面白い、実に面白い」と杉。「ふ~む、浄瑠璃や芝居とどっちが面白え?」と海舟。「え!」と絶句する杉。「いやさ、おいら、面白がるために、本を読む位なら、芝居や浄瑠璃に行くからよ」ここに読書の本質が説明されているように思った。読書にエンタメとしての因子・要素がある以上、この読メにマンガを登録するとかしないとかの拘りは、拘る人その人限りのものと思えてくる。以上、まったくの余談。字数が足りない。2014/11/05
ちゃま坊
19
神戸海軍所には土佐をはじめ各藩の若い衆が集まり、まるで梁山泊のようだ。勝に集まる人脈の中で坂本龍馬と西郷吉之助が手を結び、大きな勢力が生まれつつある。なかには幕府に仇なす奴もいるか。長州征伐のとばっちりで勝はいったん失脚し神戸海軍所も閉鎖。幕府はもう根が腐った陽だまりの樹だ。幕臣であるが近々倒れることはわかっていたのだろう。復職後に大阪に呼ばれた場面で、嘉納治五郎の父と勝海舟のつながりが解明した。2019/03/05
さっと
7
八月十八日の政変、池田屋事件、禁門の変、長州征伐、薩長同盟と京における勢力図がめまぐるしく入れ替わる中、勝麟太郎もお役御免になったり、また引っ張りだされたりとあわただしい。しかし、信念はゆるがない。国を二分して意見を闘わせているときではもうないのだ。神戸海軍操練所に出入りしていた面々を見ると、保守的な幕閣からにらまれて当然だけれど、本当に顔が広い。西郷とも初顔合せ。それから、さすがに弱気になって事を投げ出そうとした麟太郎を戒める幕医・松本良順の存在感もすごい。2013/06/22
AI
5
神戸に海軍操練所を開設した勝海舟。幕府の無能なお偉方からの横槍をかわすため、あえて神戸の地を選んだ。どの藩からも分け隔てなく志ある若者を受け入れ鍛えたが、そのために幕府から忠誠を疑われ海軍操練所は取り潰しにあう。日本の未来のために必要な海軍の重要性を理解できない幕府の老中だち…。一旦は無役になったが、風雲急を告げる時代に余人に代えがたい勝は1年で軍艦奉行に復権する。竜馬の活躍で薩長同盟がなる一方、幕府側は徳川家茂将軍が逝去し、また大きく時代は動いていく。2019/06/25