新潮文庫<br> みちづれ―短篇集モザイク〈1〉

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新潮文庫
みちづれ―短篇集モザイク〈1〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 271p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101135144
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

宝石のような短篇を百篇綴り、壮麗なモザイクに組上げる、著者独創の連作シリーズ第一巻。青函連絡船から海峡へ花束を投じる男に、見知らぬ女の視線がからむ表題作。四十近くなった娘が幻の父と対面する、その一瞬の情愛がせつない川端賞受賞作「じねんじょ」、寝静まった家に、夜毎すすり泣きの声が響く「すみか」など、僅か数ページに封じこまれた人の世の怖れと情味。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

88
芥川賞作家・三浦哲郎さんの3作目。短篇よりも短い「掌(てのひら)小説」である。一息で読める10頁の中に、味のある情景・情況描写など小説の要素が上手に描かれています。事故で早世した父の寺を継ぐために、僧の修行に出る少年の話【とんかつ】。面白くて二度読みした。入院先のベッドで、10日間の禁煙命令が…。愛煙家のタバコへの思い入れを綴った話【めまい】。50年のヘビー喫煙で肺が壊れた、私自身の猛省を込めて読んだ。1話が10分で読めるこの本は、お出かけの道連れには恰好の一冊でしょう。2021/03/03

shizuka

59
珠玉の短編集。短編が次から次へと押し寄せてくる。心に残った印象深い話は多くあったが、正直題名が覚えられない。三浦さんは長編より短編を執筆するのが好みで、私は長編より短編を読書するのが好み、この需要と供給の一致具合。今まで知らずに生きてきたことが悔やまれるが、今後の楽しみが増えたと考えれば上々。水上勉さんのようなそこはかとなく悲しみを纏った雰囲気にも惹かれる。読めば読むほどはまっていく。三浦さんを辿る旅、まだ始まったばかり。きっと今年中に読み切ってしまうことだろう。嬉しいような悲しいような。短編、ばんざい!2017/03/26

メタボン

33
☆☆☆☆寺へ修行に行く息子と母が食べる「とんかつ」出征する男に操を捧げんとす「ひがん・じゃらく」アイスホッケーで思わずどすけべと叫ぶ「ののしり」小鳥が逃げる瞬間の夫婦の些細な食い違い「うそ」スリに鍵を盗まれた疾しい「トランク」娘の振袖に座敷童を重ねる「すみか」耳の中の虻「くせもの」居場所のない老婆の悲哀「ねぶくろ」妊婦を象る土偶を巡る妄想「はらみおんな」児童の婿取りという淫靡な遊び「おさなご」入院したスナックのママを探すが「こいごころ」固まったバリウムを取り出す看護婦の「ゆび」川端賞受賞「じねんじょ」。2021/02/10

アオイトリ

21
読メのレビューより)やわらかく、しっとりとした言葉が沁みる掌編。何気ない人生の一シーンが叙情豊かに表現されていて、うっとり。大切に時間をかけて一話ずつ、読みました。日本語が美しくて心が震えます。まんず、こういうことになりゃんして…やっぱし風が滲みると見えて、嚔を、はや三度もしました(とんかつ、南部弁)ふと太宰の満願を読んだ時のような、しあわせを感じました。2022/03/25

酔拳

17
短編集3部作の一番目の作品。短編が24編収録されている。三浦先生は、一遍でも二編でも、心に残る短編を世に残したいという信念をもっていたそうです。この短編集を読んでみると、文章ひとつひとつから、様々な想像ができるなと感じた。次々と、短編が繰り出されるので、題名と文章がなかなか、頭にのこらない。ただ、「とんかつ」「なわばり」「トランク」「てんのり」「じねんじょ」あたりが、脳裏にのこった。2020/12/27

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