新潮文庫<br> 影法師 (改版)

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新潮文庫
影法師 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 331p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101123073
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社トリスタの提供する「読書メーター」によるものです。

ken

8
遠藤周作が描く人間達は弱く醜くい。彼が描く人生もまた惨めで儚い。に関わらず彼らと彼らの人生を愛おしく思わせるのは、それを描く遠藤周作自身が弱く醜い人間を捨てようとしないからだ。本書に描かれるのは、愛欲に足下を掬われ、環境に虐げられ、信仰を貫き一人惨めに死んでいくような人間達だ。彼らの人生は決して美しく華やかなものではないが、それらは読者に人間の悲しさと愛しさと尊さを教えてくれるように思う。毛色はやや異なるが巻末に収められた原民喜の追憶文が良くて、繊細で気の小さい原民喜の悲哀と遠藤周作の悔恨とに胸を打たれた2017/09/14

6
私小説を主とした短編集。遠藤周作は精神的弱者を多く描いているが、それは著者自身もその一人だからである。ゆえに著者が弱者に向けるまなざしには自己哀惜的な慈愛が込められている。「影法師」「六日間の旅行」では弱者である著者と、強者である著者の母親と親交の厚かったスペイン人の司祭という対比が描かれる。他人の人生に痕跡を残すほど烈しかった母親に畏怖し、強者だった司祭が自分と同じ弱者側に転落した事実に著者は失望する。そして上記の経験が神への信仰と母に対する思いの一体化と、弱者を切り捨てる協会への批判につながっていく。2020/11/08

スターライト

5
『沈黙』を読んで、もう少し遠藤のこの路線の作品を読みたいと思い、標題作が信仰のことをテーマにしているとのことで手に取ってみた。宣教師でありながら結婚したため教会を追われた「貴方」あての手紙形式をとる標題作は、主人公の母が宣教師を尊敬していたにもかかわらず同情的な思いを告白しており、信仰や愛について深く考えさせられる。同じようなテーマの「もし……」は、結婚した修道女にスポットをあてて「一人の人間が他人の人生を横切る」ことの意味を問う力作。「ユリアと呼ぶ女」も含めたこの3作は、ぜひ『沈黙』と合わせて読みたい。2017/07/08

hanaka

4
沈黙もそうだったけど、盛り上がるときがすごいんだよなあ。黒い波にぐわっと飲み込まれるような、くるぞ、くるぞ、うぉぉうっ!て感じで息を詰めて読んでしまう。信仰はイワシの頭程度しか持っていない私が、信仰を裏切ることについてなぜこうも引き込まれてしまうのか。人として生きる上で、信仰は薄くとも縋るものが幾ばくかはあるのか。2018/07/09

ぷるぷる

3
文芸誌に掲載された短編をまとめたもの。私小説的なものが多い。冒頭の表題作と最後の「ユリアとよぶ女」は読み応えあり。どの作品も遠藤周作先生が追求し続けた題材がたっぷり入っている。キリスト教信仰への裏切り、母親に対する愛憎半ばした視線、健康問題に端を発する命への意見、どれも欠かせない題材である。「沈黙」とか「死海のほとり」あたりに感動した人なので納得できたり種明かしをされたような印象がある。どこまでが創作が分からないがどの作品にも告白めいた彼自身の弱さをさらけ出した部分があってそこに共感してしまう。2015/08/31

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