内容説明
女の名は、瑠璃子。真珠の如き凄艶な美貌を誇る男爵令嬢。恋人と将来を誓い、幸福に彩られていたその運命を狂わせたのは、思いもよらぬ奸計だった。荘田勝平、一介の貿易商から身を興し、大事業家にのし上がった男。手に届かぬ清浄の美への嫉妬心から、瑠璃子の父を陥れ、恋人との仲を引き裂いた。金の力で愛を跪かせようとする男に、女は純潔と媚態を武器に闘いを挑むことを決意する―。
著者等紹介
菊池寛[キクチカン]
1888(明治21)年、高松市生れ。1916(大正5)年、京大を卒業後、「時事新報」記者を勤めるかたわら、「恩讐の彼方に」等の短編小説を発表して、新進作家としての地位を確立した。さらに面白さと平易さを重視した新聞小説『真珠夫人』で、一躍、流行作家になった。その一方、鋭いジャーナリスト感覚から’23年、「文芸春秋」を創刊、文芸家協会会長等を務め、“文壇の大御所”と呼ばれた。1948(昭和23)年歿
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シルク
6
主人公瑠璃子のモデルが柳原白蓮だと小耳に挟み、読みたくなり購入。ありがちだけれど、今「アンと花子」の蓮様に惚れこんでいる最中なもので…。菊地寛作品を読んだのは初めてですが、「こういう日本語の表現あるんだ。なんかいいなぁ…」と、日本語の美しさを感じつつ読みました。言葉を堪能したくて、読むスピードを意識的にゆるめる程新鮮な体験。「いやいや。出ていくがいい。志を異にすれば親でない、子でない、血縁は続いていても路傍の人だ。(以下略)」(124頁)2014/08/23
田中峰和
3
女性に参政権が付与されるずっと前の時代だが、大正デモクラシーの影響で、こんな女性の出現もあるのかもしれない。成金の富豪が催した大宴会に出席した恋人たち。彼らは主催者の荘田の悪口を言い募る。それを聞きつけた荘田は美貌の男爵令嬢瑠璃子への復讐を誓い、彼女の父を破滅に追い込んで、娘をがんじがらめにしてトロフィーワイフとする。恋人の父の斡旋という事実がさらに彼女を苦しめたのだが、瑠璃子は結婚しても絶対に荘田に身をゆだねないと誓う。ずる賢い瑠璃子は次々と言い訳を考え荘田から逃げ続ける。メロドラマの基本パターン。2023/06/29
エビアン子
3
なぜ買ったのか、誰のお勧めなのか全く思い出せず、本棚の重荷になっていたが、こんなに面白いとは。まさしく昼ドラ!数年前までは、お父様と呼ぶ少女が居たんだなー。早く下巻を読みたい。2022/11/04
かよこ
3
読みやすいし面白い。昼ドラ見てたんだけど全然憶えてない。こんな内容だったか。下巻でどうなるのか、ドキドキ(≧∇≦)2015/04/01
巻 物
3
金の力で全てを手に入れようとする傲慢な男、それに従う利己的な社会に対し、美貌の乙女・瑠璃子は執念の報復を誓う。2011/01/14