二十世紀のパリ

二十世紀のパリ

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087732177
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

izw

9
1860年代に100年後のパリが舞台。科学技術と経済が発達し、人々は技術と金融を第一に考え、それを職業とし、文学・芸術が全く忘れ去れられた世界を描いている。執筆当時の最新技術を元に100年後のある面を正確に予測しているのは、さすがと感心するが、ここまで芸術が衰退することになった理由が何か、転換期となったのはいつ頃か、について言及がない。電気、電話、ラジオ、テレビ、コンピュータ、航空機という20世紀を支える技術を元にできなかったため、生産性と、芸術のビジネス化について思い及ぼなかったのが原因と思われる。2017/11/25

lico

5
著者から見て100年後の1970年代の世界を描いたにも関わらず、実際に世に出たのは1990年代という、なんとも数奇な運命にある小説。小説としては、ロマンスとしてもブロマンスとしてもSFとしてもなんとも中途半端な感がいなめないが、単純に現代の視点で批判するのは正当ではない気がする。トクヴィルの思想を参考にしたとおぼしき描写が散見され、当時の最新科学だけでなく思想をとりいれ、未来を描く手腕は流石ヴェルヌ。主人公の個性が彼の作品の典型例にも関わらず、この作品ではニートと化しているのは興味深い。2014/01/27

シャル

5
ヴェルヌの幻の一作にして、恐ろしいほどの未来予知な物語。機械化文明による様々な進歩と、それによって起こる社会の変容(分業制、核家族化、文学の社会的地位の衰退)は、まさに20世紀を言い当てており、その慧眼には驚かされる。でも、この作品に流れる文明風刺ぶりはヴェルヌよりウェルズっぽい印象。2011/09/22

ats

4
パリの都市描写が現代の都市と似通いすぎてます。列車の推進機構なんざ、リニアのような磁石を利用した物でして、百年以上前にこんなものをどういった経緯で考え付いたのか、想像がつきません。科学の発達に対して、文化は衰退しまくってるようで、文系人間は食い扶持すら稼げないような歪な社会になってます。特に最後あたりは「ペシミズム」の度合が急上昇。ヴェルヌにしては珍しい悲観の急上昇っぷりでした。また、巻末の訳注や原注と本編とのページの往復が面倒でした。このような作業が必要になるのもまたヴェルヌの作品にしては珍しいかも。2011/10/17

Tamura Hiroyuki

3
1970年代パリ、機械や技術が革新的に進んでいき芸術を置き去りした人々の中で、「詩」に没頭する青年とそのわずかな芸術仲間の生活を描いた未来小説。 本作が書かれたのは1870年頃なので100年後を作者が想像して書いているのだが、決して的外れなことはないところが面白い。 特にラストに向けて主人公の詩人青年が灰色のパリに居場所を失くし疾走する様は、何とも言えずもの悲しい。2012/02/07

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