感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
163
第25回(1951年)直木賞。 昭和のサラリーマン短編集である。 大阪の会社員 風間京太を通して、この時代の サラリーマンの悲痛な日々が コミカルに 伝わる。個々の物語に底に漂う ペーソスが 心に染みる、昭和の景色 満載の短編集だった。 2018/09/08
kaoru
27
戦後すぐのサラリーマンの喜びや悲哀を描いた作品。会社勤めの様子は今とはだいぶ違っているのに、そこに生きる人間の本質は不変なのが面白い。サラリーマン小説の先駆となった作品で、読む価値ありです。2017/10/26
★★★★★
6
直木賞受賞の表題作を含む、源氏鶏太のサラリーマン小説集。二昔前の作品ながら、悲哀を感じつつも同時にどこかホロっとさせられる、今も変わらぬ宮勤めの悲喜劇です。ただ、戦後間もないという時代設定は、バリバリ戦後世代の我々には一種の劣等感を抱かせて余り有るものがありました。そういえば設定がそっくりですが、漫画「山口六平太」の元ネタはこれなんですかね?しかし、死んでもサラリーマンにだけはなるまいと思っていた小生が、この手の話を理解できる年齢になってしまったことになによりの驚き。2009/06/21
りりん
5
歪んだ性格の英語力抜群な男。クマのような妻を恐れる男。乱暴者で自分の正義を疑わない男。魅力的なキャラクタの人生を介して、人の生き様というものを知る。作家や画家は作品を残す。が、世間一般の人々の多くは、何かを残すということなく人生を全うする。とはいえ、彼らが凡庸であったということはない。その人生には、それぞれの価値と、それを見届けた周囲の人間たちの視線があって、あんな人がいたのだ、と誰かの語り種となり、今も語られているやもしれない。何かを残したいと思う。が、どこに残そうか。誰かの心に残れば、それでよい。2014/01/30
おさむ
5
著者の作品は、初めて。昭和の香りたっぷり。派手ではなく、西岸良平のマンガのようなほのぼのとした印象が濃い短編集でした。英語使い、弁当男子、遠距離恋愛、経営者のおめかけさん等今のサラリーマン社会でも良くある話題が多く、読みやすいですね。直木賞受賞作。2013/08/26