内容説明
ある日、大学の後輩とおぼしき男から郵便が届いた。「読んでください。夜中に、一人で」という手紙とともに、その中にはある地方都市での奇怪な事件を題材にした小説の原稿が…。表題作「眼球綺譚」他、誕生日の夜の“悪夢”を描いた「バースデー・プレゼント」、究極の“食”に挑んだ逸品「特別料理」など、妖しくも美しい7つのホラーストーリーを収録。著者の新境地を拓いた初の短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
95
綾辻ホラー短編集第1弾。作者初の短編集でもあり、館シリーズとは作風を分ける綺譚集である。7つの短編全てに、由伊(ゆい)という名前の女性が登場する。それぞれの物語は独立しており、由伊という女性も同じ人物の事ではない。「再生」は、指を失っても足を失っても、もと通りに生えてくると言い張る女性の話。ミステリの様な、「そうきたか」という結末の驚き。「特別料理」は、普段あまり食べない蛙や熊などから始まり、実は私は好きなのだがイナゴや蜂の子、そして行き着く先に在るのは何か。思わずゾッとしてしまう余韻、たまには良いのだ。2018/10/12
tengen
62
綾辻さん初のホラー短編集。全話に由伊と云う女性が出てくるが。 一話目の再生で驚き、次の呼子池怪魚で意表を突かれ、という具合に中々楽しませてくれます。流石はミステリー作家のホラー。スプラッターまではまだいってませんので。2015/05/25
すたこ
42
★★★★★とんでもなく時間はかかったけど、面白かった。と、いうより、不気味で気持ち悪くて怖かった。短編集だからこその恐怖。単純なホラーは苦手だけど、これは話もしっかりしてて面白く読めた。さすがの綾辻作品。2016/01/18
masaru
32
短編。どれも不気味で恐ろしく、グロテスクな物語が7編収められています。表題作「眼球綺譚」が面白い。夜中に一人で読んでほしい。2016/06/26
九月猫
31
再読。『人間じゃない』のための予習復習。7人の由伊の物語。すごく覚えているお話が3篇とまったく覚えていないお話が4篇。ただし忘れていたのは4つのお話だけでなく、この短編集の怖さもだった。いやぁ、こんなに怖かったっけ……。気軽に読み始めたので、予想外の怖さ・気味悪さに途中で違う本を挟みつつ。今回、印象に残ったのは、正統派の怪談のような「鉄橋」、気味の悪さとある種の美しさが調和する表題作。そして最も苦手なのが「特別料理」。心理的・物理的な怖さより、生理的な嫌悪感。こういうのに弱くなったなぁ。 2017/07/28