集英社新書
何も起こりはしなかった―劇の言葉、政治の言葉

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  • サイズ 新書判/ページ数 221p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087203844
  • NDC分類 934
  • Cコード C0274

内容説明

英国を代表する劇作家であり、2005年にフランツ・カフカ賞、ノーベル文学賞を連続受賞したハロルド・ピンターは、近年の世界情勢についても熱い政治的発言を繰り返している。本書は、1987年に発表されたエッセイから最新のインタヴューにいたるまで、世界的作家がおこなった発言を、日本の一般読者向けにオリジナル編集したものである。冒頭に収載されたノーベル文学賞受賞記念講演をはじめとするピンターの発言の根底には、現在、自由や人権がどれほど危機的な状況におかれ、人間の言葉がどれほど空洞化しているかという深刻な問題がある。現代人の不安を恐怖とユーモアで活写する世界最高の劇作家による、芸術と政治についての発言集。

目次

1 ノーベル文学賞受賞記念講演―藝術・真実・政治
2 世界情勢を見つめる(アメリカという象は止めねばならない;自由な言葉の空洞化;アーサー・ミラーの靴下;おお、スーパーマン ほか)
3 創作活動について(デイヴィッド・コーエン賞への謝辞;執筆活動と政治と『灰から灰へ』;映画のために書くこと;劇作家として)

著者等紹介

ピンター,ハロルド[ピンター,ハロルド][Pinter,Harold]
1930年イギリス、ロンドン生まれ。英国を代表する劇作家。詩人、脚本家、俳優、演出家。2005年ノーベル文学賞、2006年ヨーロッパ演劇賞を受賞

喜志哲雄[キシテツオ]
1935年兵庫県生まれ。京都大学名誉教授。専門は英米演劇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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hiroizm

21
ノーベル文学賞受賞式での講演を含む、スピーチ、エッセイ、インタビュー集。これを読むまでピンターさんが、イラク戦争や中南米政権への介入など米英の軍事がからむ政策について、人間の尊厳、人道的立場からストレートど真ん中勝負の厳しい政治批判をしていたとは知らなかった。ノーベル文学賞講演では、大量破壊兵器が存在するとして結局見つからなかったイラク戦争について強烈に批判していて、BBCがこれ黙殺した経緯にも興味津々。当時のノーベル文学賞選考員が何を考えていたのかも気になる。いろいろ目から鱗、読んでよかった。2021/11/14

ロビン

15
イギリス・ロンドン生まれのユダヤ人でノーベル文学賞受賞者である劇作家ハロルド・ピンターの発言集。前半では主として米英のイラク侵攻と、米の南米に対する干渉と搾取に対する勇敢で真っ直ぐな批判、後半では劇作の手法や映画について語られている。日本もそういうところがあると思うが、英国でも米の悪行について、また政治的な発言をしてそうした人間の尊厳を奪う行為に抵抗することについて冷笑的な向きがあるという。そんな空気の中で臆することなくここまで踏み込んだ政治的発言をしてきたピンターは本当に気高い尊敬すべき人だと感じた。2023/07/05

S.コーニック

3
核戦争だって? コロナ禍こそすれ、そんなこと、何も起こってはいないじゃないですか。考えすぎですよ、ピンターさん。あなたが亡くなって十何年経ちましたか。トランプが降りて、バイデンの首にすげ替えられました。時代は前進してますよ。だがしかし。[この「だがしかし」という留保が、ピンターの懸念によって、私に生ぜざるを得ないのだ。]2018/06/30

bittersweet symphony

2
英国の劇作家ハロルド・ピンター(1930-2008)の1987年のエッセイから06年のインタビューまでをまとめた発言集。前半は政治の話。第二次大戦後の世界でアメリカがいかに道理に外れたことをやってきたか、というのがメインメッセージとしてあります。「拷問者が音楽好きで自分の子どもたちには非常にやさしい人間だという事実は二十世紀の歴史を通じて明白に証明されてきました」という発言に留意。これはとても根深い問題で、対症療法的にアメリカを論難するのは解決の道筋にはならない気がしています。2010/03/27

山根清志

1
「権力を保持するために不可欠なのは、大衆が無知でいること」2022/07/10

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