集英社新書
搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!

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  • サイズ 新書判/ページ数 157p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087203615
  • NDC分類 685.9
  • Cコード C0236

内容説明

大学を休学した「僕」は、一年間にわたりバイク便ライダーの仕事に従事する。そこで出会ったのは、不安定雇用の立場に甘んじながら、危険労働の現場に積極的に飛び込む、同僚ライダーたちの姿だった。広く他業種を見渡しても、ニート問題や引きこもりでやり玉にあがることの多い若者たちは、むしろ、自ら進んでワーカホリック状態に陥っている。それは一体なぜなのか?東京大学大学院に在籍中の著者が、自らの体験をもとに、同世代の団塊ジュニアが直面する労働・雇用問題を分析した、衝撃の論考。

目次

第1章 いま、若者の職場があぶない!(自己実現系ワーカホリックの時代;ワーカホリックが不安定就業と結びつくとき ほか)
第2章 仕事にはまるライダーたち(二種類のライダーたち―時給ライダーと歩合ライダー;ミリオンライダー ほか)
第3章 終わりは突然やってくる(時給から歩合へ―ワーカホリックへ向かうライダーたち;あるライダーの変化 ほか)
第4章 職場のトリック(ワーカホリックのからくり;職場のトリック(1)コーチのトリック ほか)
最終章 目覚めよ!雑草世代―リスク管理と連帯(職場の誘惑に抗するために―処方箋の提示;素直で好戦的な世代 ほか)

著者等紹介

阿部真大[アベマサヒロ]
1976年生まれ。岐阜県岐阜市出身。東京大学大学院後期博士課程在籍。専攻は労働社会学・家族社会学・社会調査論。大学休学中のバイク便ライダー体験をもとに、団塊ジュニア世代が直面する労働・雇用問題を、社会学的な知見を駆使して考察した『搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!』がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

19
バイク便のライダーとして働いていた著者のルポ。若者からの搾取を取り上げた社会学的な本というよりも、いわゆるお仕事ものとして面白かった。とはいえ、バイクが好きだからバイク便を始めるといった本著にある例に限らず、好きなことをしているのだから労働環境が悪くてあたりまえという考え方は、賃金以外のやりがいを提示して「やりがいがあるから低賃金も長時間労働も耐えよう!」といったやりがい搾取と直結するので、資本主義社会で多かれ少なかれ搾取されるぼくたち労働者はそのあたりをセンシティブに考えなければならないなと感じた。2022/01/28

サイバーパンツ

15
なぜ若者たちがワーカホリックになるのかについて、バイク便ライダーを例に読み解く。彼らは職場が仕掛けた巧妙なトリックによって、趣味と仕事が同一化され、病気や事故さえもライダーの勲章と感じるまでに追い込まれていく。そのようなバイク便ライダーの実体を踏まえ、著者は趣味を仕事にする際には、自分の望む職場の内情を事前にリサーチし、知っておくべきだと説く。題材と結論は割と普通なんだけど、あまり知らないバイク便ライダーに焦点を当てたおかげで面白かった。2016/07/04

tolucky1962

10
バイク便ライダーを題材に若者がなぜ搾取されるかを探る。この仕事の経験のある著者は執筆当時東大社会学専攻博士課程学生、現在は甲南大学准教授(労働社会学)。自分のバイクで請負契約で仕事するライダーはその美学ゆえにワーカホリックになっていく。時給ライダーから歩合ライダーになっていく理由をその内面から説明する。趣味としてのバイク好きはいつのまにかすり抜けの技を磨くプロのバイク好きに。そこまで仕事に打ち込みながら自らを負け組と捉える。事故は自己責任。若い労働力は使い捨てられていく。 そんなトリックが職場にある。 2016/06/09

まっ黒大魔王

10
バイク便ライダーを実際にしていた著者の経験から、現代日本の搾取される若者の実情を伝えたかったようです。しかし、バイク便ライダーだけの実例から語るには少々無理があり、社会学博士課程の院生のわりに、内容が薄すぎる。変に多い余白や改行、小さな表で丸一ページ使うなど、明らかなページの水増しが多く、厳しい言い方をすれば、著者の売名のための暇つぶしにしか見えませんでした。2014/08/07

ヒダン

10
バイク便ライダーという不安定雇用ど真ん中で、趣味と仕事が一体化してワーカホリックになってしまうという<搾取される若者たち>を参与観察という社会学的手法で調査したものをまとめた本。仕事による趣味の更新により加速度的に泥沼にはまり込み、事故を起こせばそこでぽっきりと会社に捨てられる。しかし最初の一歩を誘うトリックは自分たちで用意してしまっているのだ。団塊ジュニアだからバイク便ライダーになるというのはこじつけだと反論したいが、リスク管理を可能にする教育と労働者の連帯を進めるべきだという提言はもっともだと思った。2013/12/06

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