内容説明
明治維新こそが近代の「夜明け」であるという認識が、一般の日本人にとって、ごくあたりまえの通念である。本書は、激動の時代を駆け抜けた三人の幕臣たちの生涯を取り上げながら、そうした歴史通念に異を唱えた一冊である。反射炉やお台場築造に関わった先駆的な行政官・江川太郎左衛門英龍、ペリー艦隊と最初に接触した人物にして、日本初の西洋式帆船の建造者である中島三郎助永胤、そして、船舶技術や国際法の知識を総動員して、近代日本建設のいくつものプロジェクトのリーダーとなった榎本釜次郎武揚。日本の近代は、幕末期の技術系官僚たちによって準備され、すでに始まっていたのである―。
目次
第1部 早すぎた男―江川太郎左衛門英龍(江川家と文化文政の知識人;鉄志向と海外志向;蘭学者への弾圧の中で ほか)
第2部 陣痛期を生きた男―中島三郎助(浦賀奉行所の与力;黒船に乗りこむ;造船の第一人者として ほか)
第3部 近代化に殉じた男―榎本武揚(技術者的な合理精神;オランダ留学;戦乱の故国へ ほか)
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950年北海道生まれ。作家。79年『鉄騎兵、跳んだ』でオール読物新人賞を受賞し、デビュー。89年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞。同年より東京農業大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。