集英社新書
余白の美 酒井田柿右衛門

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  • サイズ 新書判/ページ数 254p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087202670
  • NDC分類 751.1
  • Cコード C0272

出版社内容情報

日本の「陶磁器」を語る上で、柿右衛門ほど格調高く、また歴史を誇る窯はない。江戸時代に始まり、赤絵の技法を確立、ついには中国・オランダに輸出され、世界中の陶磁器に影響を与えた名門。その14代当主にして人間国宝が語る「職人芸」の大事さ、やきものの心。歴史と個人的な精進が生み出す至高の器の秘密が初めて明かされる。

内容説明

色絵磁器の最高峰、柿右衛門。その最大の特徴は赤絵の華麗な絵柄とともに、『濁手(にごしで)』と呼ばれる乳白色の磁肌にある。江戸時代に生まれ、一時途絶えていた濁手の技術を甦らせた十二代、十三代柿右衛門とその工房。そして、十二代の祖父、十三代の父から伝統と工房を受け継ぎ、傑作を生み出してきたのが十四代柿右衛門だ。祖父、父から受けた薫陶、やきものを作る実際の工程など、人間国宝でもある十四代が初めて語った柿右衛門の美の神髄。歴代柿右衛門の作品解説もあわせて、柿右衛門窯のすべてがここに明かされる。

目次

1 わたし(職人気質というものは;十二代と十三代;三代で一人前 ほか)
2 つくる(有田のやきもの;石を砕く;泉山の石 ほか)
3 あじわう(柿右衛門窯とその様式;様式の特徴;色絵 牡丹菊文 蓋付 壷 ほか)

著者等紹介

十四代酒井田柿右衛門[ジュウヨンダイサカイダカキエモン]
1934年佐賀県有田町生まれ。多摩美術大学日本画科卒業。1971年、日本工芸会正会員となる。1982年十四代柿右衛門を襲名。2001年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。2002年、日本工芸会常任理事に就任
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さっちも

10
写実、細密、‘完璧な白はマイセンや古来の中国に譲って。ノイズのある、乳白色のある白を目指し。その白の色合いを最大に活かすために描き込み過ぎず、あつぼったくならない抽象の美を目指す。多くの職人は技術があっても不思議と美的感覚や芸術への理解を深めない。窯元の頭首は、その技術をオーガナイズして受け継がれた感性や時代の息吹を吹きこむという。最近、古いだろう伊万里家に来て。14代の言う雲仙や他の地で産出される石にはない、有田の良さというのが何となく理解できる。どこか霞んでプラスチックにない有白色。使ってあきない2022/05/20

壱萬弐仟縁

10
除籍本。8頁分巻頭カラー写真。赤絵、余白、濁手の総合が柿右衛門様式(22頁)。奥村土牛先生も登場(55頁)。結婚式の写真では、どうも銀閣寺の背景がみえる(69頁)。修学旅行で行ったのを思い出す。赤絵の端緒は、伊万里の東島徳左衛門が長崎でしいかんという唐人から伝授(84頁)。86-87頁は酒井田家の歴史が一覧できる年表。濃(だ)み(137頁~)。「窯焼きは世話焼き」(150頁)。してみれば、家庭教師のような世話焼きでいいなら、職人になる素質はあるかもな(苦笑)。赤は2種類。濃いのと薄いのを使う(170頁)。2013/11/02

てくてく

4
作家と職人の違い、職人集団としての柿右衛門、12代から14代にかけての歴史などについて語られている。職人に称号を与えるだけではなく、今の工芸品を維持できる様な工夫を文科省は考えているのだろうか。2017/03/10

nizimasu

3
日本の工芸において圧倒的な格を誇る柿右衛門。先日、このインタビューに登場する14代は亡くなられて、NHKの100年インタビューで放送されていた。美術と工芸の差というのは、そのモノに対するこだわりやイディアみたいなものが厳然とある点において、美術家とはかなり違う。そして工房というシステムについても言及していてそれぞれの過程に、専門家がいる。そして代ごとに、得意の行程も違う。いや、日本の美を考える上でkれほど、理路整然とはなされる14代の言葉が残されていてよかったとつくづく思うばかり。感激しました2013/07/11

てっしー

1
こういう、職人の語り下ろしって、いいなあ。とりとめなくて話はあっちこっちいくけれど(笑)以下、引用「『最近、少しずつ慣れました』って職人が言ってますけど、『慣れんでいい』『慣れるなよ』と私は言っているんですがねぇ」「『誰でも』って言いましたけど、ちょっとは熟練しないと駄目ですよ(笑)まあ、十年とか二十年とか。ハハハハハ」「絵にしてはいけないんですね。図案でもいけないしスケッチそのものでもいけない」「職人っていうのは個性があってはいけないんです」「ヘラの跡が見えるというのはやっぱりいいですよ」2012/10/20

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