集英社新書
戦時下日本のドイツ人たち

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087202038
  • NDC分類 334.41
  • Cコード C0221

内容説明

「非国民」「鬼畜米英」に代表される排除と憎悪の戦時下日本で、「ことなった体験」をした人たちがいる。偶然にも当時の日本に暮らすことになったドイツ人たちだ。貿易商、教師、留学生や兵士として、遠い日本で体験した彼らの日常生活は、ほとんど記録に残っていない。どのように暮らしていたのだろう。日本の戦争、戦時下の生活をどう見ていたのだろう。大物スパイ・ゾルゲの素顔やヒトラー・ユーゲントの来日で沸く軽井沢など、意外なエピソードを豊富に紹介しながら、戦争という歴史的大事件とは切り離せない大小の日常的事件を、24人のドイツ人が、おおらかに、そして真摯に語る。本書は、「記憶の風化」という時間との戦いのなかで集めた、歴史的に貴重な極限状況の証言集である。

目次

第1章 日本に暮らしたドイツ人―その素顔(どれくらいドイツ人がいたのか;日本で何をしていたのか;華々しき貿易商たち ほか)
第2章 戦時下の暮らし(ドイツ人社会;「食」;「衣」と「住」 ほか)
第3章 歴史を体験する(日中戦争(一九三七~四一年)
ドイツの戦争
日本でのナチスの活動 ほか)

著者等紹介

上田浩二[ウエダコウジ]
1947年生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院修士課程修了。ベルリン、ウィーンに留学後、早稲田大学教授を経て、93年より筑波大学教授(異文化交流論)。また、ドイツ語通訳者・翻訳者の育成に尽力。この関連の著書、訳書など多数

荒井訓[アライサトシ]
1954年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院博士後期課程単位取得満期退学。東北大学助教授を経て、98年より早稲田大学助教授。東北大学在任中の93~96年、国際交流基金専門調査員としてケルン日本文化会館に出張勤務
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

James Hayashi

28
当時3千名程のドイツ人が居たという。外交官、留学生、技術者(‘33年までノーベル賞受賞者の3分の1がドイツ人)など。異人の目から見た日本の証言集。衣食住の個人的体験からマイジンガーやゾルゲ事件なども語られ、当時の外交や政治にも触れられ緊張感を感じ取れる。2019/01/25

tsubomi

7
2018.05.05.13-05.21:第二次世界大戦中に日本にいたドイツ国籍の人たちがどう生活していたかという記録集。ナチ党日本支部の他にヒトラー・ユーゲントの下部組織のような「日独ユーゲント」があったこと、トーマス・マンの義兄クラウス・プリングスハイムが日本に亡命したこと、ゲシュタポの大佐ヨーゼフ・マイジンガ―の日本赴任とリヒァルト・ゾルゲ事件の真相をはじめ、一般のドイツ人たちの生活の苦労や楽しみなど知らなかったことが多く勉強になりました。特に、ドイツ人同志の監視の目が厳しかったのが興味深い点。2018/05/21

Ted

6
'03年8月刊。○日本に留まったドイツ人からの聞き書きという性質上、断片的な嫌いはあるが、当時を知らない戦後世代が陥りがちな誤った思い込みの修正に資する内容も多い。戦時下の日本を国内で観察できた唯一のヨーロッパ人という視点、また戦後60年を経過し年齢的にも聞き取りが可能な最後の機会を捉えたという点では貴重な証言集であろう。空襲が激しくなるにつれ白人に対する人々の目が険しくなり、撃墜されて落下傘降下した米兵かと疑われリンチに遭った例もあったようだ。背景が本書と重なる手塚治虫の『アドルフに告ぐ』を思い出した。2013/01/31

かんがく

3
手塚治虫の『アドルフに告ぐ』を読んで、戦時中の日本にいたドイツ人ってどんな感じなんだと気になり、読みました。筆者の入念な取材で、当時日本にいた外交官、商人、水兵、留学生、婦人、子供などの様々な人々の証言を記載して、日本の中にいながら外の視点から戦争を描いていてとても興味深い本でした。2014/07/29

坂津

2
第二次世界大戦前から戦後間もない時期にかけて、様々な理由で日本に滞在していたドイツ人の動向について、当事者への聞き取りや記録などから掘り起こした新書。同盟国出身という理由で白人ながら自由な行動がある程度は可能で、中立国の情報やアメリカの放送に接することができたドイツ人側の視点は貴重だと実感した。本書の出版年が2003年なので、その数年前に行われた聞き取り調査時には、当時20代~30代だった人はまだ存命だったことも功を奏している。貿易商や留学生、外交官など、取り上げられる個々のエピソードがどれも興味深い。2023/04/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/246040
  • ご注意事項