内容説明
九・一一事件以降、米国のマスメディアはこぞって政府よりの、アメリカ中心主義的報道に終始し、また、イラク戦争においてもジャーナリズムは米政府に巧妙に取り込まれてしまった。わが国でも、大阪・池田小学校児童殺傷事件や和歌山毒入りカレー事件などにおける集団的過熱取材で、ジャーナリズムが市民に敵視される構図が生まれており、それに乗じたかたちでメディア規制法案が浮上してきた。本来、市民の立場にたって権力と対峙するはずのジャーナリズムに、いま何が起きているのか。現場の記者が、衰退し機能不全に陥っている危機的状況への真摯な考察から、記者教育をも含めたリ(再生)・ジャーナリズムを具体的に提言していく。
目次
第1章 漂流する放送メディア(赤い髪飾りの女の子;「盗み撮り」とは ほか)
第2章 萎縮する活字メディア(倒錯の構図;集団的過熱取材のメカニズム ほか)
第3章 メディアの新しい潮流(関連記事を衛星のように飛ばす;蜘蛛の巣状に広がる流れ ほか)
第4章 明日のジャーナリズムのために(OJT一本槍の日本型教育;なぜサツ回りを偏重するのか ほか)
著者等紹介
徳山喜雄[トクヤマヨシオ]
1958年兵庫県生まれ。朝日新聞映像本部デスク、総合研究本部研究員を経て、アエラ・フォトディレクター。東欧革命やロシア・旧ソ連諸国での冷戦体制の崩壊過程、クルド難民、エルサルバドル内戦などを取材。著書に『苦悩するロシア』(三一書房、RM文学賞受賞)など
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