内容説明
「異端文学とは何か」という問いは、では、日本に「正統的な文学」があるのかという問いにつながる。「異端文学」とは、文学それ自身(の有用性や社会的評価)を白眼視する文学である。文学なんてそれほどのものかよ、という罰あたりな言葉を呟く「文学」の中の異端児である。本書は一九六〇年代から七〇年代にかけての「異端文学」ブームを社会史的、文学史的に整理し、渋沢龍彦、中井英夫、山田風太郎、小栗虫太郎、橘外男、国枝史郎、三角寛、中里介山『大菩薩峠』、渡辺温、尾崎翠、石塚喜久三、団鬼六等を読み解く。
目次
序章 異端文学とは何か
第1章 「異端文学」の時代
第2章 「人外」の文学世界―中井英夫
第3章 「肉体」の時代―山田風太郎
第4章 「人外魔境」の物語―小栗虫太郎
第5章 野獣死すべし―橘外男と日影丈吉
第6章 禁忌の物語―国枝史郎と三角寛
第7章 山から谷へ、谷から山へ―『大菩薩峠』
第8章 姉の愛・妹の恋―渡辺温と尾崎翠
第9章 ポルノとSM
著者等紹介
川村湊[カワムラミナト]
1951年、北海道網走市生まれ。文芸評論家。法政大学国際文化学部教授。法政大学法学部卒。大学卒業後、全国各地を転々とし、さまざまな職業につく。この間日本の古典文学を研究、多くの評論を執筆した。のち韓国に渡り、四年間釜山に滞在。82年東亜大学日語日文学科講師、助教授。「異様なるものをめぐって―徒然草論」で群像新人文学賞、『南洋・樺太の日本文学』(筑摩書房)で平林たい子文学賞受賞
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感想・レビュー
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