集英社新書
読むクラシック―音楽と私の風景

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  • サイズ 新書判/ページ数 218p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201116
  • NDC分類 760.4
  • Cコード C0273

内容説明

演奏会に行かなくても、身近に触れているクラシック音楽は案外多い。慌ただしい日常生活の中で耳をすませば、かつて聞いた曲がふたたび聞こえてきて、過去と現在の思いが絡み合う。小学校の給食の時間にいつも流れていたビゼーの「アルルの女」と虫歯の想い出や、集合住宅の配管を伝ってくる金属音が、子どもの弾くピアノ曲「きらきら星」だったり、モーツァルトのクラリネット五重奏曲が流れる焼鳥屋で聞いた女将の身の上話など、四十八曲にまつわる話を、やさしい眼差しとほのぼのとしたユーモアで語る。独自の私小説の世界を切り拓いた作家の、音楽を介した自伝的エッセイ。

目次

日本篇1(最も親しく見慣れた川の風景に―スメタナ連作交響詩『わが祖国』より「モルダウ」;小学校の給食の思い出に―ビゼー『アルルの女』 ほか)
北欧篇1(蜂騒動に―リムスキー=コルサコフ歌劇『サルタン皇帝の物語』より「熊ん蜂の飛行」;オスロの秋に―細川俊夫「うつろひ・なぎ」 ほか)
日本篇2(辻音楽師の思い出に―シューベルト『即興曲集』;無調の響きに―メシアン『峡谷から星たちへ』 ほか)
北欧篇2(機内の不思議な時間の流れに―ヒンデミット前奏曲「前庭に最後にライラックが咲いた時―愛する人々へのレクイエム」;デンマークの麦畑に―ハイドン弦楽四重奏曲第六十七番二長調「ひばり」 ほか)

著者等紹介

佐伯一麦[サエキカズミ]
1959年、宮城県生まれ。県立仙台第一高校卒業。週刊誌の記者をしながら小説を書きはじめ、84年「木を接ぐ」で海燕新人賞受賞以来、「ショート・サーキット」で野間文芸新人賞、「ア・ルース・ボーイ」で三島由紀夫賞、『遠き山に日は落ちて』で木山捷平賞受賞。電気工として働くかたわら、生の姿を欺かず綿密に描いて、新しい私小説の世界を切り拓く
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

もっひぃ

8
筆者の音楽体験にまつわるエッセイ。一曲一曲に対して筆者のエピソードがある。それが48曲分。求めていたものとは違ったものの、「ツウ」の音楽の聴き方を知ることができた。筆者のように小学生の頃からクラシック音楽に興味を持てたのは羨ましい。2017/03/20

マカロニ マカロン

6
個人の感想です:B。著者の『ショート・サーキット』を読み、主人公の電気工が高い場所での工事の時に近所の家でバッハの無伴奏チェロ組曲の冒頭部を「何度もつかえ、やり直しながら、繰り返し弾いている」場面があり、それに電気工が「チェロに負けじと口笛で旋律を吹き鳴らす」と、「はたとチェロの音が止」んでしまう。このシーンが印象的で、著者が電気工をしながら小説を書いていた時代に聴いていた、レコードを主体としたさまざまな名曲への思いが印象的だった。パンツのゴムで回転するターンテーブルという記述も面白かった。2018/01/29

KAZOO

6
自分の若いころからの体験とその時々に感銘を受けたクラシックの曲についてのエッセイです。ですので、この曲についてはどの演奏家がいいということではなくあくまで自分の生き様とその曲の関係が中心となっています。まあこのようなクラシックの鑑賞の仕方も面白いと感じました。2013/10/07

mikimikimini

4
クラシック48曲にまつわる自伝的エッセイ。最近クラシックに興味があり、曲探索のつもりで読みました。曲についての分析などは特にありませんが、格式張ったイメージがあるクラシックを、日常の中で身近に、親しみを持って楽しむきっかけを、教えてもらった気がします。また、このエッセイを通して、知らなかった曲と出会えたことも良かったです。2014/04/24

かぷかぷ

3
音楽を聴くことは祈りである…最後の一文が印象に残った。2013/05/07

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