内容説明
演奏会に行かなくても、身近に触れているクラシック音楽は案外多い。慌ただしい日常生活の中で耳をすませば、かつて聞いた曲がふたたび聞こえてきて、過去と現在の思いが絡み合う。小学校の給食の時間にいつも流れていたビゼーの「アルルの女」と虫歯の想い出や、集合住宅の配管を伝ってくる金属音が、子どもの弾くピアノ曲「きらきら星」だったり、モーツァルトのクラリネット五重奏曲が流れる焼鳥屋で聞いた女将の身の上話など、四十八曲にまつわる話を、やさしい眼差しとほのぼのとしたユーモアで語る。独自の私小説の世界を切り拓いた作家の、音楽を介した自伝的エッセイ。
目次
日本篇1(最も親しく見慣れた川の風景に―スメタナ連作交響詩『わが祖国』より「モルダウ」;小学校の給食の思い出に―ビゼー『アルルの女』 ほか)
北欧篇1(蜂騒動に―リムスキー=コルサコフ歌劇『サルタン皇帝の物語』より「熊ん蜂の飛行」;オスロの秋に―細川俊夫「うつろひ・なぎ」 ほか)
日本篇2(辻音楽師の思い出に―シューベルト『即興曲集』;無調の響きに―メシアン『峡谷から星たちへ』 ほか)
北欧篇2(機内の不思議な時間の流れに―ヒンデミット前奏曲「前庭に最後にライラックが咲いた時―愛する人々へのレクイエム」;デンマークの麦畑に―ハイドン弦楽四重奏曲第六十七番二長調「ひばり」 ほか)
著者等紹介
佐伯一麦[サエキカズミ]
1959年、宮城県生まれ。県立仙台第一高校卒業。週刊誌の記者をしながら小説を書きはじめ、84年「木を接ぐ」で海燕新人賞受賞以来、「ショート・サーキット」で野間文芸新人賞、「ア・ルース・ボーイ」で三島由紀夫賞、『遠き山に日は落ちて』で木山捷平賞受賞。電気工として働くかたわら、生の姿を欺かず綿密に描いて、新しい私小説の世界を切り拓く
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