出版社内容情報
負けてなおファンを魅了する―それがクジラの男達の生き様。ホエールズ時代から横浜一筋33年、田代富雄が見た弱さの先にあるもの。親会社の変遷と、募る球団への不信感。ホエールズ時代を知る盟友たちが次々と去る中、クジラの伝統を守ろうと、最後までもがき続けたオバQこと田代富雄。運命に翻弄されてなお輝いたその野球人生。
赤坂 英一[アカサカ エイイチ]
著・文・その他
内容説明
来る日も来る日も負けてばかりで、しょげ返っている観客の目を、田代のホームランが空を見上げるように促してくれた―あの頃、プロ野球が最も輝いていた!
目次
沈黙
急転直下
孤独
突破口
泥沼
幻の甲子園
盟友たち
恩師
爆発
永遠の放物線
栄光の陰に
企業の論理
湘南時代
根性
最後の戦い
訣別
運命
著者等紹介
赤坂英一[アカサカエイイチ]
1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部を卒業後、日刊現代入社。88年よりスポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら、週刊誌、月刊誌でノンフィクションを執筆してきた。2006年に独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シブ吉
43
1973年の入団から1991年の引退まで、一度も優勝することが出来なかった田代選手。現役生活19年、「オバQ」の愛称で呼ばれた田代選手の最後の打席は通算278号のホームランだった。そんな大洋一筋だった田代さんの野球人生。青バットの大下さんの教えを受け、天まで届けとばかりの放物線を描いた打球の話に合わせ、大洋を舞台にした井上ひさしさんの物語が挿し込まれる。「青空を振り仰ぐことは、戦時中はいやな行為だった。すこし前まで『死』は空からやってきた。ところが、その空をいまはのんびりと見上げている。」白球バンザイ。2013/10/06
imagine
9
何名かの方と同じく「4522敗の記憶」から派生して読了。スター街道ド真ん中ではない選手にこそ共感してしまうのは野球ファンの性。特に大洋の田代とあっては夢中で読むしかありませんでした。人格者なだけでなく、覚悟を持った男の生き方をされてます。いつコーチをやめてもいいようにラーメン店開業したり。ドラファンとしては、宇野勝選手のこんな本があったら嬉しいです!2016/09/14
yyrn
9
大洋ホエールズ時代からの最後の生え抜き選手、田代富雄という男は多くのプロ野球ファンから愛された男だ。私も好きだった。宮城球場で一度だけ、高い高い放物線を描いたホームランを見た記憶がある。30年以上も前のことだ。その人が12年からイーグルスの二軍打撃コーチに就任すると聞いてとても喜んだ。この本にも書いてあるように若い選手を育てるのにはこういう鷹揚な人が相応しいのだろう。そして一軍の打撃コーチになった去年13年にリーグ優勝し、そしてジャイアンツを破って日本一にまでなったのは決して偶然ではないと思う。2014/02/01
6だ
9
田代富雄という人は現役時代のプレースタイルやその成績から不器用な選手という印象は強かったが、性格・生き方からしてこうまで不器用な方だとは思わなかった。だからこそ慕われているのだろうが、チームの先輩松原誠がP173「なんてもったいないやつなんだ」P271「がっついたところがなさ過ぎる」と評したくなるのも良く判る。そんな田代が一軍監督代行として指揮を執った2009年のシーズンを中心に、同年代の山下大輔、高木由一や師匠格のクリート・ボイヤーたちのエピソードも盛り込み、往年のプロ野球ファンにも読み応えのある一冊。2014/01/23
ふり
8
読み終えて真っ先に思ったのが、なんて好漢なんだと。この人のためならがんばろう、やってやろうと思えるそんな人物。そして、こんな好人物を雑に扱った前の会社のフロントがやっぱり許せないことを再確認できた。いろいろあったけど今年、10年ぶりに戻って来てコーチに就任してくれて本当にうれしいし、次世代の主砲や強打者を育ててもらいたい。4522敗の記憶と併せて読むのをおススメします2019/08/02