講談社文芸文庫<br> 新編 物いう小箱

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講談社文芸文庫
新編 物いう小箱

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  • サイズ 文庫判/ページ数 246p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061984004
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

読むことと、書くことと―生涯をこの二つに凝集、膨大な資料の渉猟と丹念な読み込みから、世に名高い森史学は生まれた。その傍ら資料から離れ、虚実の間に筆を遊ばせるかのような本書収載の珠玉の小品が書かれた。『怪談』を愛してやまなかった著者が「八雲に聴かせたい」との思いで書き綴った怪異談、中国の説話に想を得た作品等四十四篇を収める新編集の増補版。

著者等紹介

森銑三[モリセンゾウ]
1895・9・11~1985・3・7。近世学芸史家。愛知県刈谷市生まれ。図書館員、代用教員等を経て、1926年、文部省図書館講習所を卒業、東京帝国大学史料編纂掛に勤務し、38年退職。45年、空襲により膨大な資料を焼失。50年、早稲田大学講師となり66年まで書誌学を講ずる。生涯、近世学芸史、人物研究、西鶴研究等をすすめ、多くの文章を執筆する
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

67
前半は江戸、後半は中国の話を集めた怪談集。江戸を舞台とした話のあれこれは本当に滋味溢れるといった表現が似合う話ばかり。猫が不意に喋ったり、提灯の怪異が出たり、亡き人がお別れに来たり、決して派手ではないけれどもどこかほんのり不気味でそれでいて何かしら懐かしいような話ばかりであった。特に「物いう小箱」の後を引く不気味さの余韻といったら…。中国を舞台にした話は人が梯子になったり絵の女が動き出したりと怪異の内容もさることながら、その途中で不意に放り出されるような最後も素敵。しみじみとして懐かしい怪談集でした。2020/08/30

mm

28
著者の森さんは小説家というより研究者のようですね。途方もない量の書物を読むうちに、エッセンスがたまって再和風の小品が形成されていったのでしょう。落語の小話のようにおちがつくもの、こういうことがありましただけのもの、で一体なんなんでしょうという締めのないもの色々ありました。が、全て安定の文章で、「おぬし、出来るな。。」と感じさせるものばかりでした。「中学生までに読みたい日本文学」シリーズでこの方はの存在を初めて知ったのですが、貴重な方です。物語を紡いだというより、知の雫を貯めたイメージです。2019/07/12

三柴ゆよし

25
おもしろー。晩年はもう江戸時代の随筆と中国の志怪だけ読んどけばいいかなくらいの気になっているのだが、これはとてもよかった。怪談でも奇談でもない、まさしく「雑談」というほかないちょっとおかしな話ばかりをおさめており、こういうお遊びの感覚は、最近の大真面目な文学からは失われてひさしい。もっとたくさん読みたい。2021/08/11

あんみつ

13
新聞書評で知り、絶版のため図書館予約で1年以上待ちましたが、待った甲斐がありました。日本や中国の説話に想を得た小品集。なんとも不思議な話から人情味溢れる話、詐欺に合って「あちゃー」な話があると思えば、おじいちゃんが性悪な若造を懲らしめる胸のすくような話もあってすごく楽しめました。怪談も含まれますが、非常に上品で好みです。「猫が物いう話」はほのぼのした雰囲気に思わず口元が緩むし、「朝顔」は涙がこぼれました。 2014/02/05

blue_elephant

12
日本と中国のショートショート怪談44篇。森銑三氏を初めて知る。本当に知らないことが多い。近世学藝史家というものが、何をされるのかわからない。が、この編纂された作品は、怪異を描かれているが、なんだかほのぼのしてしまう。おばあちゃん家に遊びに行き、布団にもぐりこみながら聞いていた、あの時間を思い出す。幼心に恐くて仕方ないが、おばあちゃんの優しい手に包まれて安心する、仕合わせな時間。でも、やっぱり恐れに慄くことしかできない小さな自分もいたりして。おばあちゃんは、本当に私のおばあちゃんだったのかしら。2020/11/17

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