講談社文芸文庫<br> ひべるにあ島紀行

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講談社文芸文庫
ひべるにあ島紀行

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  • サイズ 文庫判/ページ数 343p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061983595
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

スイフトの『ガリヴァー旅行記』に導かれ冬の国=アイルランドを訪れた「わたし」。謎めいたスイフトの生涯を、一人の女性への“激しい友情”を核に読み解く縦糸。「わたし」と妖精のような男達との“優しい性愛”を物語る横糸。さらに架空の国ナパアイをガリヴァーのように旅する「わたし」が目にするグロテスクな意匠。重層的な表現でタペストリの如く織られた富岡文学の達成。野間文芸賞受賞。

著者等紹介

富岡多恵子[トミオカタエコ]
1935年生まれ。1954年、桜塚高校卒業。大阪女子大学英文科入学。1957年、小野十三郎の紹介により人文書院で詩集『返礼』をつくり、自費出版(山河出版社)する。1958年、大阪女子大学卒業。、詩集『返礼』により第八回H氏賞受賞。清風高等学校に英語教師として就職。1959年、清風高校を退職。1961年、『物語の明くる日』により、第二回室生犀星詩人賞受賞。1974年、『植物祭』により第一四回田村俊子賞受賞。『冥途の家族』により第一三回女流文学賞受賞。1977年、『当世凡人伝』所収の「立切れ」により第四回川端康成文学賞受賞。1994年、『中勘助の恋』により第四五回読売文学賞受賞。1997年、『ひべるにあ島紀行』(講談社)刊行。同書により第五〇回野間文芸賞受賞。2001年、『釈迢空ノート』により第一一回紫式部文学賞、同書により第五五回毎日出版文化賞受賞
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感想・レビュー

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syaori

32
ひべるにあはヒベルニア。ローマ時代の地の果て、「寒くて遠い冬の国」、アイルランド。その首都ダブリンで生まれたスウィフトの謎の多い生涯の考察から始まる「わたし」のアイルランド紀行は、スウィフトの人生とガリバー旅行記の不思議な国々、現在のアイルランドと架空のナパアイ国に「わたし」の現在と過去が混じり合い、いつの間にか過去と現在と幻想が絡み合う不思議な場所(ひべるにあ?)に連れてこられていることに気が付きます。この饒舌で幻想的な旅が、「いずこも同じ」ミートソースで終わるというのも悲しくおかしい余韻を残しました。2017/04/04

rinakko

13
再読。“スイフト”の伝記と“わたし”のアイルランド紀行に、“わたし”の架空の国ナパアイ滞在記…と、今から過去へ現実から虚構へ曖昧な境界を自在に行き来する重層的な作品。『ガリヴァー旅行記』にもみられる厭世観や人間不信、女嫌い、ステラとの特異な恋愛…など、スイフトの生涯に纏わる謎についての思案の件は面白い。ナパアイ国では異様な風俗が流行り、“わたし”が連れ歩く少年ケイは妖精にさらわれる。堕天使でもある妖精たちの斜陽、日の当たらない冬の国(ひべるにあ)の小昏い光景、そのもの哀しさが全篇に行き渡り、儚いが美しい。2016/12/13

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