講談社文芸文庫
奈良登大路町・妙高の秋

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  • サイズ 文庫判/ページ数 235p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061983571
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

奈良へと出郷していく少年期の回想とともに、家族、故郷への想いを謳った読売文学賞受賞作「妙高の秋」、奈良の美術出版社・飛鳥園を舞台に、美しき出会いと別れを綴る「奈良登大路町」、戦時下、師・志賀直哉、滝井孝作との愛情溢れる交流を描いた「焦土」など、寡作で知られる作家の珠玉の八作品を収録。端正な文体で創り出される純度の高い抒情的世界の魅力を凝縮した名作集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ワッピー

7
祖母の生涯をモデルにした「仙酔島」、菊売りの母娘の物語「残菊抄」、奈良を戦火から守るために尽力した米国人と飛鳥園の林氏との交流「奈良登大路町」、志賀直哉の疎開「焦土」、自らの軌跡を振り返りつつ、故郷に帰り兄妹と語らう「妙高の秋」、飛鳥園時代を振り返りつつ、また奈良を訪う「斑鳩へ」、老人の世話をする住津子の出奔「神田連雀町」「佃島薄暮」を収録。端正でブレのない作品の中でも、「仙酔島」冒頭の巨視的な視点から次第に主人公に収斂していく描景の見事さにやられました。他の作品も時間をかけて読み進めたいと強く思います。2017/02/05

YO)))

6
『貴種ならぬ、庶民の流離の相』(解説より) 何れも味わい深い八篇。戦時下など、過酷な情況をも恬淡と、しかし決して諦念をもって突き放すことなく。如何な場合に於いても細やかな情緒を汲み上げることを忘れない、やさしくも力強い眼差しがそこにはある。菊売りの母娘二代の不幸せ「残菊抄」、戦中の志賀直哉、瀧井孝作両氏との交流を描いた「焦土」が特に良い。2015/02/28

アメヲトコ

4
短編8作を収録。師の志賀直哉を彷彿とさせる美しい文体が味わい深く、佳作揃いですが、とくに初期の作品である「仙酔島」の冒頭部における高遠の描写は上質な日本画を見るかのよう。2016/11/21

ロータス

2
堀江敏幸さんが何かの本で薦めていたので読んでみたが、それぞれの作品が一行一行味わいながら読める完璧な文章による実に心洗われるものであった。まるで自分ひとりしかいない静かな美術館で、細部まで丁寧に描かれた風景画と向き合っているような感じがした。表題作二作がやはり良かった。この人の本をもっと読んでみたい。2019/09/26

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