出版社内容情報
川端 康成[カワバタ ヤスナリ]
著・文・その他
内容説明
大正十年「招魂祭一景」で注目された著者は翌十一年、文芸時評家として文壇に登場、小説を書く傍ら二十年に亘り時評を書き続けた。本書には「永井荷風氏の『つゆのあとさき』」、「谷崎潤一郎氏の『春琴抄』」のほか横光利一の純粋小説論にふれた「『純粋小説論』の反響」など昭和六年から十三年までの時評を収録。自ら激動の時代を反映。ノーベル賞作家川端康成の出発点を刻す文芸時評。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
64
古本まつりで入手。三十代の川端康成、キレッキレである。昭和初期の文壇の様子、純文学と大衆小説の在り方、何より文学の将来を憂う川端の憤りの混ざった辛辣な文章は一読の価値がある。2018/11/02
刳森伸一
6
川端康成による昭和6年から13年にかけての文芸時評。読んだことのない作品への言及が多く、個々の評価の是非は分からないが、川端の小説に対する厳しいスタンスなどが分かり面白い。プロレタリア文学に関する言及が意外に多く、そして社会が抑圧的になるにつれ徐々に減ってくるのが興味深い。2018/10/07
yoyogi kazuo
1
思ったより毒舌で驚き、期待以上に面白かった。谷崎も荷風も志賀直哉も泉鏡花もケチョンケチョンなのに徳田秋声と政宗白鳥を「勝手にしろと言う外ない傑作」と持ち上げているのにさらに好感を持った。2022/07/24
海野藻屑
0
川端康成の成り立ちを書いた本。2017/04/27