内容説明
明治末期から大正初期にかけて文壇の主流であった自然主義文学を、当時読売新聞の記者として文芸欄を担当。のち作家として文壇の中心にあった著者が、藤村、花袋、秋声等の作品を論じながら回顧。漱石、鴎外、二葉亭にも及び、自然主義文学の盛衰を辿った力作評論。第一級資料。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fseigojp
11
小林秀雄が激賞している作家 ただし小説はうーん この本は例外的に面白かった2015/07/30
ハネ
3
下手で面白くない小説でも、評価されるべきもの、それが日本の自然主義文学。人間のありのままの姿を呈していることこそがその魅力ではないかと、読んでいくうちにそう思うようになった。2023/11/27
Lieu
2
取り上げられる自然主義作家はみな著者の友人・先輩であるが、人間性の恥部と作品に見られる作為を遠慮なく論じている。それなのにただの悪口にならず、各作家の文学の違いが生き生きと浮かび上がっていて読んでみようという気になるのが不思議な評論。 昔の人は党派性が強く、自分の仲間うちには甘いという思い込みがあったが、そのことは少なくとも正宗白鳥には当てはまらない。白鳥に比べたらむしろ現代人の書評の方がそうじゃないかと思う。2020/07/30
風斗碧
1
歯に衣着せぬざっくばらんな白鳥の物言いがいい。柳田のつっけんどんさとは違い、当事者ならではの切って切り離せぬものに対する億劫さと嫌気と、愛がある。明治から戦後へ長く生き延びた人の哀切が淡々と語られ、逆算して明治の冒頭に大きな転機を見せた露伴の評で終わる所もなかなか良かった。藤村、秋声、秋江らのファンの人は特に面白いと思う。2017/11/25
笠井康平
1
いまでは悪しき旧弊としてさえ語られる「自然主義」が、貧しい若者たちの輝かしい理想だった頃の思い出話。きらきらである。2011/11/25