講談社文芸文庫<br> 金色の盃〈上〉

講談社文芸文庫
金色の盃〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 562p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061982758
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

アメリカの大富豪ヴァーヴァー氏は、ロンドンで美術品の収集に余念がない。一人娘のマギーはアシンガム夫人の仲介でイタリアの貴族アメリーゴ公爵と結婚する。そしてヴァーヴァー氏は娘の友人のシャーロットを妻に迎える。シャーロットとアメリーゴはかつて愛し合っていたが、貧乏ゆえに結婚できなかったという過去がある。図らずも義母と娘婿の関係になった二人を待ちうけるものは―。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

30
最初に語られるのは2つの結婚。大富豪の娘マギーとイタリアの公爵の、そしてマギーの父と公爵の恋人だったシャーロットとの。幸せな2組の夫婦であり、擬似夫婦のような父と娘であり、かつての恋人であるという奇妙な関係。彼ら絡み合う思惑は見えるようで見えず、薄い布が幾重にもかかった端正で豪奢な宮殿を歩いているようです。「何一つ起きはしなかったのです、何一つ起きようとはしていないのです」とアシンガム夫人が言うように、金を塗った水晶の盃の内部の傷は外からは見えない、見えてはいけないのです。一体彼らはどうするのでしょう。2016/11/01

ぺったらぺたら子 

14
オースティン→ジェイムズ→漱石の系譜を最も感じさせるのが本作か。私には体験したことの無いほどの豊穣にして複雑緻密な言語による異空間はもはやサイケデリックだが、その精密さ難解さに躓きながらもじっくり解きほどき、味わい、耽る愉しさ。喜び。そして世界はこのように捉えがたく多義的なものだという事をほんの数人の人物たちの関係が教えてくれる。本書を読むという事は世界に蔓延る解りやすい物語との私なりの戦いではないのか。「男の人というものは棚ぼた式に手に入れた女を愛したりはしないものなのよ。」いやな予感たっぷりに下巻へ。2018/07/04

白黒豆黄昏ぞんび

12
すっかり読み耽ってしまいました。心理と心理がぶつかりあう駆け引き小説です。大富豪のヴァ―ヴァ―氏、その娘マギー、マギーの夫アメり―ゴ公爵、後のヴァ―ヴァ―氏の妻となるシャーロットに加え、縁を取り持ったアシンガム夫人が互いの思惑を絡み合わせるのですが、そこはヘンリー・ジェイムズ、掴んだと思ったらスルリとこぼれおちるようなぼかし方で翻弄される非常に難解な小説です。自分の頭を試されているような面白さがあります。さて、すぐに下巻を読み耽るとしよう。2013/05/31

かしこ

1
読んだ、読んだ、相変わらずのヘンリージェイムズの長い文。父娘の絆が強すぎたのがいけなかったのか、シャーロットと公爵との恋が清く強いものだったからよくないのか…2016/08/27

Hotspur

0
上巻。『大使』や『鳩』に較べると肩の力が抜けた感じ。アシンガム夫妻の会話など、これまで読んだジェイムズには見られなかった雰囲気である。かつ、主要人物がより限定され、いわば箱庭の中でストーリーが展開する趣があるために、余計に漱石の後期作品を想起させる。2018/06/10

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