講談社文芸文庫
戦後短篇小説再発見〈4〉漂流する家族

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  • サイズ 文庫判/ページ数 270p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061982642
  • NDC分類 913.68
  • Cコード C0193

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Shoji

60
家族というものは、いったい何であろうか。 いささか哲学的である。 タイトルは「漂流する家族」。 理想的に見える家族であっても、内実は退廃的であったり、惰性的であったり。 思うに、「理想的な家族」って永遠に未完成だと思う。2016/11/03

メタボン

32
☆☆☆★ 友人へ手紙の形で語られる告白「増田みず子・一人家族」が一番良かった。他、印象に残ったのは、端正な文章で雛飾りの由来を語る「幸田文・雛」女が自死するに至る偽愛の夫婦生活「中村真一郎・天使の生活」家出した妻についての夫と息子との会話の前半、妻が電車で次々に同級生と会う異世界の中盤、そして後半の妻と夫の電話によるしりとり「黒井千次・隠れ鬼」父親の不在を象徴的に描く「津島佑子・黙市」軽快な母子の会話と手作りのプラネタリウムが印象的な「干刈あがた・プラネタリウム」。2020/07/05

パラ野

16
あかん。ダメ父性と消えちまった父性全集で面白すぎた。庄野潤三「蟹」はさすがに戦後のパパかな。安岡章太郎の「愛玩」のダメっぷりは本当にすごい。尾辻克彦「シンメトリー」は自称「主婦」の父親が娘との会話で男のおっぱいについて考え始めたり。次第に父が消えて、増田みず子の「一人家族」まで行き着く。幸せな家庭を作るために結婚と離婚を繰り返す旧友からの手紙への返事だが、想像するだけで恐ろしい相手の女。ある事件のルポを思い出した。江藤淳の『成熟と喪失』の逆バージョンみたいな選びかな?どうだろう?2014/08/31

みや

15
家族をテーマとした戦後短篇小説12作品。敗戦の影が色濃く残るものから高度成長期後のものまで幅広く収録。戦後における父親という存在の悲しさが際立つ。軍隊がなくなり、肉体の優位性を誇示することが男に許されなくなったとき、家族において父親が果たせる役割は、母親の一部の代替しかない。去勢され、かつ、子が本能的に求める柔らかな母性を持たない男たちは、制度としての「家族」でどう振る舞えばうまくいくのだろうか。いずれの作品も楽しめたが、特に、干刈あがた『プラネタリウム』が良かった。2021/12/03

踊る猫

8
「家族」をテーマにした第四巻。安岡章太郎の作品から始まり、不勉強にして読んだことのなかった久生十蘭や中村真一郎、庄野潤三といった作家の作品が並ぶ。個人的な好みで言えば黒井千次「隠れ鬼」が、読んでいる間はあっさりし過ぎているんじゃないかな……と思ったのだけど読み終えてみたら不条理な味がじわじわあとから出て来る一編として映った。津原祐子「黙市」も面白い。「家族」を扱うにあたって、ほぼ全てが「父」の姿が浮世離れした超越的なものとして立ち現れるのは偶然なのだろうか。あとは「家族」とはやはりシステムの産物なのだなと2016/08/02

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