講談社文芸文庫<br> 光の中に―金史良作品集

講談社文芸文庫
光の中に―金史良作品集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 320p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061976603
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

日本の戦争と侵略による苛酷な時代に、在日朝鮮人作家の先駆となり、多くの傑作を残し逝った金史良の代表作九篇。1914年(大正3年)、朝鮮・平壌(現・ピョンヤン)に生まれ、渡日して旧制佐賀高校、東京帝大に学び、同人誌に執筆。少年と南先生の心の交流を描く「光の中に」で評価を得、鋭い風刺の力業「天馬」他を書き、弾圧を避け戦時下に帰国。後、朝鮮戦争で人民軍に加わり、戦病死。幻の名作群の甦り。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アメヲトコ

4
平壌に生まれ、17歳で日本に留学、その後半島に戻り朝鮮戦争で人民軍従軍中に消息を絶った金史良の短編集。いずれも植民地下での名もない民衆の卑屈さと健気さを哀しみを込めて描いたもので、なかでも火田民と色衣奨励運動をテーマとした「草深し」は、日本人/朝鮮人という単純な二項対立にとどまらない、植民地期朝鮮社会におけるいくつもの裂け目を重層的に描き出しており印象的でした。2016/09/22

なかすぎこう

3
「在日朝鮮人」と言われる人の、葛藤や悲しみ、人への情念などを、内側から優しく描いた作品群である。どれも日本の戦争と侵略の下でのどん底の世界であるが、その中の、光、暖かさ、ユーモアは何であろう。一番好きなのは、「親方コブセ」。土方たちを南方まで送るせむしの親方の、一人ひとりに対する暖かさがにじみ出ている。作者は何故日本語で書いたか。それは、朝鮮語で書くだけでは、広く世界に(日本に)伝わらないと思ったからである。彼らの日本への憧れを知って、今の時代であるが、自分をとても恥ずかしく感じた。作者の日本語は美しい。2021/07/25

巣々木

1
表題作の「光の中に」を青空文庫で。在日朝鮮人の、差別に屈するでもなく抗うでもなく、日常の中で折り合いを付けている様子が印象的だった。いわゆる社会問題であるにせよ、声高に訴えることもせず、個人の心情を丁寧に描いていて良心的な文芸に触れた気がします。戦前の小説のようですが全く古さを感じなかった。2017/02/10

独楽

0
朝鮮人に日本語の使用を強制した時代(内鮮一体)、朝鮮人が日本語で書いた作品。少年の薄暗いところでの舞踏が、先の見えない希望を表しているように感じる。言葉を奪うとは、思想を奪うこと。その重さを考えたい。2015/04/15

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