内容説明
明治四十三年四月、武者小路実篤、志賀直哉、有島武郎、生馬ら若い作家、美術家たちの個性溢れた「白樺」創刊。明治四十四年、堺利彦、為子夫妻の“売文社”は大逆事件関係者の救援本部の体をなした。三月、帝国劇場開場。六月、白秋抒情小曲集『思ひ出』刊。九月、平塚らいてう等「青鞜」創刊。旧友からの遺託“伊藤文壇史”の理念と方法論を尊重しつつ、独自の識見のもと“瀬沼文壇史”を構築。読売文学賞受賞。
目次
有島生馬の帰朝
パリの梅原龍三郎
ノアール訪問
志賀直哉
関安子との愛情問題
マーク・トゥエン、荻原守衛、ビョルンソンの死
直哉の『剃刀』
南薫造・有島壬生馬滞欧記念絵画展覧会
ロダン生誕七十周年『ロダン号』
志賀直哉の青春
トルストイの死
兵役忌避問題
性と女との問題〔ほか〕
感想・レビュー
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rbyawa
1
j098、伊藤整から切り替わっての2冊めで、もうこの巻になるといわゆる妄想による会話がほとんどなくなり…「責めてはならない」と解説があったものの、どうなんでしょうねその辺の評価。それらしいのは鴎外の「高名な専門家と組むとろくなことにならないと知っていた」のような過去の体験に基づく心情の推測くらい、学術的な話や演劇ジャンルの動向などが代わりに記述されている感じかな。小説家には向かない、研究者に近い、という解説の言い分には全く同感。ところでそれでも白樺勢と漱石氏の関係が出てこなかったのはちょっと気になったな。2019/08/25