講談社文芸文庫<br> 蕁麻の家

講談社文芸文庫
蕁麻の家

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  • サイズ 文庫判/ページ数 234p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061975538
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

著名な詩人である洋之介の長女に生まれた嫩は、八歳の時母が男と去り、知能障害の妹と父の実家で、祖母の虐待を受けつつ成長した。家庭的不幸の“救いようのない陥穽”。親族は身心憔悴の「私」の除籍を死の床の父に迫る。『父・萩原朔太郎』で文壇的出発をした著者が、青春の日の孤独と挫折の暗部を凄絶な苦闘の果てに毅然と描き切った自伝的長篇小説、三部作の第一作。女流文学賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ステビア

21
地獄2024/01/14

Melody_Nelson

4
萩原朔太郎の娘である著者の少女時代を描いたものだが、凄まじさに圧倒された…。婆さん、冷酷すぎるだろう。現代でも家庭内でのいじめはあるが、今はシェルターとか逃げ道があるものの、当時はそんなものはなく、よく耐えられたなと思ってしまう。多少はデフォルメもあるのだろうが、本人は「実際はもっとひどかった」とコメントしているようで、書けないこととかあるのかなと推測。途中、悪い男に引っかかり、その時は読んでいて「何故!?」とイライラしたが、最後の方に、寂しかったのだろうということがわかり、切なくなる。2020/07/18

ぱらっぱ

2
著者の自伝的小説で悲惨な境遇を描く。日本の敗戦前の異常なイエ制度の歪んだ重圧により理不尽極まりない境遇に落ち込む主人公を描く。 高名な詩人萩原朔太郎の救いようのない家庭生活についてはよく知らなかったので驚いた。2022/08/23

GB

1
買ったまま10年以上積読していた本。勝も恐ろしい鬼婆だけどふたばもちょっと頭が足りない、どこまでも暗い小説。生い立ちは気の毒だと思うけど、浅はかさの言い訳にはならないでしょ。父親の死の床での勘当に対する拒絶がなかったら完全に救いのない話になるところだった。2020/04/10

せっぱ

1
存在を知りつつも手に取る勇気がなかった作品ですが、読んでよかったと思えました。解説に声の描かれ方についての表記があり解釈の一つとして参考になりました。物語の終わりの数頁が印象に残る。著者が父に求めていたものは言葉では語られなかったけれど、こんな形で届いていたのかと。そのかすかな光を求め足掻いた少女の日々がせつない。2014/07/06

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