内容説明
虚実交錯する二元的批判構図を持ち、特異な発想と構想で常に戦後文学に先鋭な問題を提起し続けた『復興期の精神』の著者・花田清輝の代表的戯曲三篇。明治十八年、自由民権運動を背景に、女壮士・新聞記者・講釈師・演歌師等を配して、その過激な運動の壊滅までの顛末を描いた諷刺喜劇「爆裂弾記」のほか、「ものみな歌でおわる」「首が飛んでも―眉間尺」を収録。
目次
ものみな歌でおわる
爆裂弾記
首が飛んでも―眉間尺
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
耳クソ
10
花田清輝はもっと読まれるべきであるはずなんだけど……2021/08/19
あかふく
0
小沢信男の解説タイトルは「雲をつかむ男」となっている。花田清輝が戯曲等で扱う事態は多彩であっても、そこに漂うものを見るとすれば、その「雲」、そこから感じる「浮遊」のイメージを言うことができそうだ。「ものみな歌でおわる」には「遊」びの要素が散りばめられる。「あの遊びのなかで、わたくしは、取憑くこの、化けることと、おどろかすことの面白さを、はじめて知りました。」さらに歌や、言葉遊び、阿呆、赤ん坊…。そして遊びは仮象に関わり、物真似遊びにもなる(p.105)。2014/08/27