講談社文芸文庫
オレゴン夢十夜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 277p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061963924
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

小説家の日記には素顔の魅力が覗くと言う。『オレゴン夢十夜』は、一見、日本文学を講ずる為にオレゴン州に滞在した“私”の日記という形を装う。滞在中の瑣事を書き、あらゆる感懐を述べながら、これまでの外国体験が物語られて時に夢とうつつが交錯し、そして幼時、両親、先祖への懐古へと遡ってゆく。小説家、詩人大庭みな子の底深い精神の原風景の幻。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハチアカデミー

13
B+ 旦那を日本に残し、一人アメリカに渡った女流作家の夢と現の語り。作品の英訳者との翻訳問答から、日本語で省略される「わたし」の背後に、自立しない、他者との連帯・癒着があることに戸惑う短編「言葉」が凄い。また本家漱石の蛇(第4夜か)を思わせる「何処へ」では、「あたまのおかしい老人」が病院の廊下を往復する。老人の呟く「おれはどこから来て、どこに行くんだろう」という、人類が抱える大きな問いは、自分の祖父を巡る物語へと続き、男と女、生と死という二項対立の狭間の物語へ移っていく。現こそ夢と言いたげな世界観を堪能。2012/11/09

あ げ こ

5
身体を自由に飛翔させることが出来ても、心は地を這うまま。柔らかく脂肪のついた肌より放たれる匂いは淫猥さを多分に含み、その身に秘めた肉欲の濃さを思わせる。染み付いて離れぬまま腐敗していく迷いと諦め、自らとは異なる性を持つ者への怒りと執着。そのどちらもが発露した己自身であるからこそ、捨て去れぬ矛盾を同時に持ち続ける胸の葛藤は生々しい。気ままさを許されることで縛られる息苦しさ。何か次の姿へと変わり行く前にも似た醜悪さがあり、多くの逡巡と倦怠、虚無感が混ざり合ったような、消化し難い陰鬱なわだかまりを残す。2014/07/31

調“本”薬局問悶堂

1
表紙と題名に惹かれ、小説だと思って古本屋で購入。(※私が持ってるのはこの表紙じゃない) 読み始めてみるとエッセイなのかと思う。でも、やっぱり空気がちょっと小説。 不思議な感覚だった。 栗本薫の本に“栗本薫くん”が出てくるのとはちょっと違う。 最後のほうはやっぱり夢だ。 《2020年6月 登録》 “青い目の、肌の浅黒い、栗色の髪の女は、 髪に赤い花をつけ、裸足で歩いていた”2009/04/23

大野

0
言葉の表現が独特な感じがしました♪

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