講談社文芸文庫<br> 古典の細道

講談社文芸文庫
古典の細道

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  • サイズ 文庫判/ページ数 245p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061962972
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

【内容紹介】
記紀の記述の相違から倭建命に深くかかわる精神、能「大原御幸」の演者の一瞬の間に隠れた真実を感得する魂。芸術・文学に造詣深い著者が、誘われるごとく、業平、小町、世阿弥、蝉丸、継体天皇、惟喬親王等、12人の縁りの地を訪ね歩き、正史に載らぬもう一つの姿を鮮やかに描き出す。伝承・伝説を語り継いだ名もない人々“語り部”、その心に、共鳴し、慈しむ、白洲正子の独創的古典へのエッセイ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

レアル

50
古典に登場する人達を描いた紀行文。最近で言うと「倭建命物語」を読んだばかりなので最初に描かれていた「倭建命」は印象深い。この本では倭建命の他、古典で登場する人達が活き活きと描かれている。彼女の古典への知識そして視点と感性溢れる文章に読む手が止まらない。まだ数冊しか読んでないけど、彼女の本好きだわ。2019/07/16

たま

41
1969-70年に雑誌『太陽』に連載された写真と文章。新潮選書となり全集に収められ私が読んだのは2008年の単行本、今は講談社文芸文庫で読み継がれているようだ。倭建、業平、小町は有名な歌が多く読みやすいが、建礼門院、平維盛、花山院と進み、世阿弥、蝉丸、継体天皇となると白州さんの能の教養に加え、ゆかりの地を歩き伝承を収集した上での解釈が面白い。その解釈は歴史の彼方に霞む昔の人のありようを浮かび上がらせるもの。選ばれた12人は白州さんのお気に入りの人たちらしく、読んでいて知己が増えるような楽しさを覚えた。2022/02/10

Gotoran

29
白洲正子が全国の史跡を旅しながらその土地縁野人物について書き綴ったエッセイ。取り上げられている人物は、倭建命、在原業平、小野小町、建礼門院、平維盛、花山院、世阿弥、蝉丸、継体天皇、磐之媛皇后、惟喬親王、東福門院。記紀や大鏡、平家物語などからの引用に加えて、うた(和歌)や能、そして由縁があるとの言い伝えがある土地や場所をもとに語られている。古典そのものだけではなく、その背後にいる人間たちも扱った随筆となっている。興味深く読めた。2023/12/05

ダイキ

5
「業平を評して、〈その心あまりて、言葉足らず。しぼめる花の色なくて、匂残れる如し〉とあるが、〔略〕あまりに心が深くて、三十一字の中に盛りこめない、それが反って、しぼんだ花がほのかな香りを残すように、えもいわれぬ余韻を与えると、そんな風に解釈することも出来る。〈言葉足ら〉ぬ所に、長い詞書が生れ、その詞書が、伊勢物語の母体となった。そして、百五十年後の源氏物語、後につづく様々の歌物語に、欠くことの出来ぬ下地を作ったのである。〔略〕すべては彼の歌の力にある。〈心あまりて、言葉足ら〉ぬその不足な部分にある。」2020/12/28

ひつじねこ

4
古典作品に名を残す人々についての紀行文。白洲正子は題材とする人ゆかりの地を必ず訪れるらしい。おかげで読んでいる側としてもその地を踏みたくなってくる。在原業平と小野小町の章では、平安初期の唐風文化によって大和言葉や和歌は軽んじられていたと語られる。それを復活させたのがこの二人であると。確かに平安文学と言えば土佐日記や源氏物語などの1000年前後の作品は浮かぶものの、それ以前は万葉集まで遡らなければならない。彼らがいなければ現代まで残る名作は実は生まれなかったかもしれないと思うと、歴史の繊細さにため息が出る。2015/03/11

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